アルゼンチンとブラジル、共通通貨創設を協議 懐疑的な見方も

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ブラジルのルラ大統領とアルゼンチンのフェルナンデス大統領=2日、ブラジリア/Evaristo SA/AFP/Getty Images

ブラジルのルラ大統領とアルゼンチンのフェルナンデス大統領=2日、ブラジリア/Evaristo SA/AFP/Getty Images

ロンドン(CNN) 南米の二大経済大国であるブラジルとアルゼンチンが共通通貨の創設に向けた協議を開始したことが分かった。ただ、専門家からは懐疑的な声も出ている。

ブラジルのルラ大統領とアルゼンチンのフェルナンデス大統領は22日付のアルゼンチン紙への寄稿で、両国のさらなる統合を促進したい考えを示した。

「金融と商流に使用できる共通通貨の議論を進めることに決めた。運用コストや外部脆弱(ぜいじゃく)性の低減につながる」としている。

これに先立ちルラ氏は就任後初めてアルゼンチンを訪問し、首都ブエノスアイレスでの記者会見で、共通通貨の創設は米ドル依存の軽減につながると訴えていた。昨年のドル高は世界各国に痛みをもたらした。

ただ、ロイター通信によると、ブラジルのハダド財務相は記者団に対し、共通通貨創設案の影響を過大視しない考えを表明。アルゼンチンの米ドル不足が両国間の貿易の足かせになっており、政府首脳は解決策となりうる案を模索しているものの、ブラジルの通貨レアルが廃止されるわけではないと強調した。

ブラジルとアルゼンチンは共に、パラグアイやウルグアイを含む南米南部共同市場(メルコスール)に所属する。1991年のメルコスール創設以来、共通通貨をつくる案は定期的に浮上してきた。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのマーケット戦略担当グローバル責任者、ウィン・シン氏は共通通貨創設の議論が再び持ち上がっている理由について、左派のルラ氏はボルソナーロ前大統領に比べフェルナンデス氏と政治的な立ち位置が近いためだと指摘する。

また新興市場はドル高による打撃が大きく、世界金融システム内でドルが支配的な現状に対して不満の声が出ているという事情もある。ドルは昨年、主要通貨バスケットに対して8%近く上昇。食料やエネルギーの輸入価格が高騰したほか、ドル建て債務の返済コストも上昇した。

ただ、投資家からは、共通通貨創設の試みが軌道に乗るか疑問視する声が上がる。

シン氏は、ここ20年間のブラジルの経済的な立場はアルゼンチンよりもはるかに強固だと指摘。「ブラジルの中央銀行や組織の方が信頼性がはるかに高い」と述べた。

テリマーの株式調査部門を率いるハスナイン・マリク氏も調査メモで、両国は経済状況が異なるため共同歩調を取るのは極めて難しいと指摘。「ブラジルとアルゼンチンは通貨同盟の立ち上げに必要な経済政策やパフォーマンスの一致からは程遠い状況だ」と述べた。

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