英国会議事堂を集合住宅に? 民間団体が提案
(CNN) ロンドンの住宅難に対処するには、英国会議事堂の入ったウェストミンスター宮殿を改修して安価な住宅を供給すればいい――そんなアイディアを、英国の民間団体が発表した。
住宅問題を扱う団体「ジェネレーション・レント」の計画によれば、まず国会はイングランド北部の町ハルへと移転させる。そして空き家になった宮殿に計364戸の集合住宅と、テムズ川に面した高級オフィスを作る。
ジェネレーション・レントによれば国会議員のうち地方選出の335人はロンドン周辺で部屋をかりており、そのために国庫から拠出される費用は2013年だけで526万ポンド(約10億円)に上ったという。
「移転候補地」のハルは、イングランドで最も安く家を借りられる町。ここに国会を移転させれば人件費も含め、大きな経費節減が見込めるという。
「私たちの案を見て、議員たちが恥の意識をもち、住宅危機を早急に終わらせようと考えてくれるといいのだが」と、ジェネレーション・レントのアレックス・ヒルトン事務局長は言う。
もっとも、この案には大きな問題がある。19世紀に建てられたウェストミンスター宮殿の老朽化だ。
ジョン・バーカウ英下院議員は2日、修繕に必要な費用は30億ポンド(約5600億円)に上るとの見通しを明らかにした。
12年の調査では、水漏れ箇所や崩れかけた石材を修繕し、アスベストの除去を行わなければ、宮殿は取り返しの付かない損傷をこうむることになると指摘されている。