10代若者、いじめで有罪なら運転免許剥奪 米テネシー州で新法
(CNN) 米テネシー州で1日、新たな法律が施行された。いじめ及びネットいじめで有罪となった10代の若者の運転免許証を裁判所が最長1年間停止することを認める内容。いじめで最も傷つく可能性のある10代を対象にすることで、いじめそのものを撲滅することが目的だ。
法案を提出したローウェル・ラッセル州議会議員は声明でCNNの取材に答え、「いじめは長期的な害悪を引き起こす可能性があり、本人のその後の人生に精神的な問題をもたらしかねない。暴力行為や自殺のほとんどは、いじめに遭ったことが原因だと指摘されている。いじめをなくす対策が何も講じられないことに、とにかくうんざりしている」と語った。
法案は超党派の圧倒的な支持を得て可決。支持者らは蔓延(まんえん)する問題に対処するための一歩だと歓迎している。
ラッセル氏の説明によれば、運転に対する制限は二つの方法で実施される。一つには裁判所がテネシー州安全局に通知し、法廷でいじめの有罪が確定した者へ運転免許証を発行させないようにする。また「免停中での運転を摘発された場合には、さらに罰則を受けることになる」という。
法律は、初犯者に対してはある程度の柔軟性を認めてもいる。
免許を失う10代の若者は、制限付きであれば免許の申請が可能になる。学校、職場、教会といった日常的な目的地までならこの免許で運転することができる。ただ裁判所の決定から10日以内の申請、20ドル(約2880円)の申請料の支払い、年齢条件、必要な運転テストの合格といった複数の手順を踏む必要がある。その後、いつ、どこで運転が可能かを明記した裁判所の許可も取得しなければならない。
テネシー州では過去に、今回の新法の基礎となるいじめ撲滅の取り組みも行われてきた。2024年には議員らが、いじめとネットいじめの定義を明確化。これはこうした行為に関連することの多い暴力や自殺の防止を念頭に置いた施策だった。
同州ノックスビルに拠点を置く社会サービス団体、コンタクト・ケア・ラインを運営するスコット・ペイン氏は「今回の措置が助けを求める人々の役に立ってほしいと願っている」「助けを求めることは強さであり、弱さではない」と語った。