(CNN) イスラエルとパレスチナのガザ地区の間で衝突が激化している状況について、国連の特別調整官が「戦争の瀬戸際」と位置付け、双方に自制を促した。
イスラエル国防軍によると、これに先立ちガザからイスラエルには200発の発射体が撃ち込まれ、その報復として、イスラエルは数十回の空爆を行った。
国連のニコライ・ムラデノフ中東和平プロセス特別調整官は15日にガザ地区で行った記者会見で、「昨日、我々は戦争の瀬戸際にいた」と述べ、イスラエルとガザの衝突を「誰も望まない衝突、誰もが敗者となる衝突」と形容した。
ガザでは人道状況が悪化し、政情や治安も悪化しているとムラデノフ氏は述べ、「(ガザの)住民の生活は一層困難になっている。手持ちの現金は限られ、経済は崩壊し、電気や水は乏しい」「ガザに住むパレスチナ人200万人が現在のように劣悪な状況で暮らしているのを、黙って見過ごすことはできない」と力を込めた。
その上で、パレスチナ人に対しては「平和的な抗議活動の維持」を求め、パレスチナの各勢力に対してはロケット弾や迫撃砲などの発射を中止するよう要求した。
イスラエルに対しては、ガザへの反応に自制を求め、狙撃手には「子どもを撃たないでほしい」と呼びかけた。
イスラエルは4月にパレスチナ人のデモが激化して以来、ガザとの境界フェンスでパレスチナ人を実弾で射撃しているとして批判されている。
在イスラエル米大使館のエルサレム移設に抗議して5月14日に行われたデモでは、イスラエル軍によってパレスチナ人60人が殺害された。このうち8人は子どもだった。
イスラエルは、デモ参加者に対しては過剰な武力を行使していないと主張。ガザを実効支配する武装組織ハマスがデモを組織しているとして非難している。