米墜落ヘリの乗客、安全ベルト外せず溺死 ドア開放飛行に警鐘

ヘリ墜落事故を受け、FAAがドア開放飛行の中止を指示した

2018.03.19 Mon posted at 12:23 JST

ニューヨーク(CNN) 米ニューヨーク市で5人の死者を出した遊覧ヘリコプターの墜落事故を受け、米連邦航空局(FAA)が全米の遊覧飛行運行会社に対し、乗客を安全ベルトで固定して行うドア開放飛行の中止を指示した。

今回の事故ではマンハッタン東部を流れるイーストリバーに11日夕、遊覧ヘリが墜落し、乗客5人が死亡した。水上に墜落したヘリは水没し、警察や消防のダイバーが救助作業に当たったが、乗客は安全ベルトに固定された状態で脱出できないまま、溺死していた。パイロットは脱出した。

ヘリコプターのドアを開け放して飛行する遊覧ツアーは、息をのむような光景を撮影してSNSに投稿できることから、特に若者の間で人気が上昇していた。

事故が起きたツアーを主催していたFlyNYONは、ニューヨークのほかラスベガスやサンフランシスコなどでドア開放のヘリツアーを運行。宣伝ビデオでは、イーストリバー上空を飛行するヘリのドアが開放され、短パンやハイヒール姿の若い男女がドアから機外に両足を投げ出した姿勢で写真を撮る様子が映っている。

専門家によると、この業界はこれまでほとんど規制対象になっていなかった。

死亡事故を受けてFAAは16日、非常時にすぐ外すことができない抑制を伴うドア開放飛行の中止を指示。「ツアー主催者、パイロットおよび消費者は、ドア開放飛行中に緊急脱出する事態において、補助的な安全装具がもたらす危険を認識する必要がある」と述べ、ツアー会社などに対して直ちに対策を講じるよう命じた。

イーストリバーにヘリが墜落したときの様子

通常の遊覧ヘリコプターではシートベルトが使われるのに対し、ドア開放飛行を行うヘリの乗客は、ベルトを使った装具で固定される。

自分の足の下に摩天楼が広がる光景をインスタグラムやフェイスブックに投稿したい乗客にとって、固定ベルトは安全に思えるかもしれないが、非常時には脱出が難しいこともある。

FAAによると、今回の命令は、グランドキャニオンやハワイなども含め、全米でヘリコプタードア開放飛行を運行している数十社が対象となる。乗客の安全に隙間を生じさせるような問題がないかどうか検証する目的で、遊覧飛行を規制するルールの見直しを行うことも表明した。

墜落したヘリコプターはリバティ・ヘリコプターが提供し、FlyNYONが同機を使って遊覧飛行を運行していた。同社は事故後、ドア開放飛行を中止したと伝えられている。

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