夜の水田に浮かび上がる不気味な顔の正体

神戸の自宅近くの水田で野鳥を探している時、マネキンの頭を付けたかかしを多数発見

2015.11.15 Sun posted at 20:00 JST

(CNN) 神戸に26年間住んでいるカナダ人の写真家、デニス・ドゥーセ氏は、自宅近くの水田で白サギや青サギを探している時に、不気味な顔を発見した。

気味が悪く、特に夜、その顔が通り過ぎる車のライトに照らされるとギョッとする、とドゥーセ氏は語る。

「暗闇で突然、体のないゾンビの頭部のような物体が目の前に現れたら誰でもぞっとする」

「その頭部にかびが生えたり、日光で色あせると、さらに不気味になる。(農業をしていない)大半の日本人は、追い払おうとしている鳥などの害獣よりも、人間の方に恐怖を感じさせるという意見に賛同するだろう」

日本では、かかしは農業文化の歴史を語る上で欠かせない存在であり、水田に立つかかしにまつわる多くの言い伝えがある。

「マネキンの頭は、かびが生えたり、日光で色あせるとさらに不気味になる」(ドゥーセ氏)

ドゥーセ氏が地元の人々から聞いた話によると、最近、農家の人々は、すずめを追い払うために、ヘアスタイリストたちが使い古したマネキンの頭を使って、実物大のかかしや、その頭を棒に突き刺しただけのシンプルなかかしを作っているという。

ヘアスタイリストたちがカットの練習用に使用するマネキンの髪は頭部に直接植え付けられているため、一度髪を切ってしまうと、その頭部は用済みとなる。

東京大学国際農業開発学コースの岡田謙介教授は、かかしは「鳥から農作物を守る上で効果がないことが分かっているし、日本で今広く利用されているわけでもない」と指摘する。

しかしドゥーセ氏が訪ねた2人の農民は、怖がりなすずめを撃退する方法として、効果はあるが音がうるさくて近所迷惑になる空気砲以外では、かかしが最も効果的と主張する。

マネキンの頭は、夜、通り過ぎる車のライトに照らされると特に不気味だ

実際、ドゥーセ氏は車でその地域を走っている時、異なる場所にある少なくとも十数カ所の水田でマネキンの頭を付けたかかしを見かけた。

広大な農地を所有し、15代続くある農家の人は、パート従業員の1人が美容師になるための勉強をしていた約5年前からマネキンを使用し始めた。大事なのは、マネキンかかしを使うタイミングだという。

「彼は、米の収穫の直前にマネキンを立てる。この時期は米が最もすずめの被害に遭う時でもある。彼はマネキンかかしの効果を強く確信している」(ドゥーセ氏)

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