ロシア軍、ウクライナ中部に進軍と発表 ウクライナは否定
キーウ(CNN) ロシアは8日、ロシア軍が過去数カ月にわたり到達を試みていたウクライナ中部ドニプロペトロウシク州に初めて進軍したと主張した。ウクライナ中部へのロシア軍の侵入は、疲弊しているウクライナ軍に新たな問題を引き起こす可能性がある。
ロシア国防省によれば、ロシア軍の第90親衛戦車師団の小隊がドネツク州とドニプロペトロウシク州の州境に到達した。ドネツク州の大部分はすでにロシア軍の占領下にある。部隊はその後、ドニプロペトロウシク州へと進軍を続けたという。
進軍の規模は不明で、ロシア側の攻撃の意図もわかっていない。CNNは戦場からの報告を確認できていない。ウクライナはロシアの進軍を否定している。
ロシアが進軍を主張する地域を管轄するウクライナ軍の報道官はCNNに対し、ロシアはポクロウスクやノボパブリウカ方面からドニプロペトロウシク州に侵入したという偽情報を絶えず流しているが、いずれの場所でも、この情報は真実ではないと述べた。
しかし、ロシアの主張が本当なら、和平交渉が停滞するなかで、ロシアの進軍はウクライナ軍にとって大きな痛手となりそうだ。ロシア軍はこの数週間、スーミ州北部やドネツク州のリマン近郊でも徐々に前進している。
今回のロシア軍の進軍は、数カ月にわたりロシア軍からの攻撃を受ける要衝ポクロウスクを押さえるウクライナ軍にとっても新たな圧力となるだろう。ウクライナ軍参謀本部は8日、ウクライナ軍がポクロウスク方面におけるロシア軍の攻撃的な行動を65回阻止したと発表した。
米シンクタンク戦争研究所(ISW)によるロシア軍の評価によれば、ロシア軍は7日にポクロウスク方面で攻撃を継続したが、前進はしなかったという。
ウクライナの分析グループ「ディープステート」によれば、ロシアは現在、ウクライナ領の5分の1弱を支配している。これには、2022年2月のロシアによる全面侵攻以前に占領されていたクリミア半島とウクライナ東部の一部が含まれる。
ドニプロペトロウシク州は、ロシアが一部を占領している3州、ドネツク州とヘルソン州、ザポリージャ州と隣接している。
ロシアが宣言している目標の一つは、これら3州の全てを制圧することだ。ロシアは、四つ目のルハンスク州についてはすでに一部を除いてほぼ全域を占領している。
ドニプロペトロウシク州はドンバス地方と呼ばれる4州よりも人口密度が低く、農村地帯であるため防衛はより困難なものとなりそうだ。鉱業や物流の拠点であり、戦争前の人口は推計300万人だった。