印パ対立、双方で死傷者増加 現在の状況は
(CNN) インドは7日未明、パキスタン領内で軍事作戦を実施した。パキスタンも報復し、インド空軍機5機を撃墜したと主張している。インドが実効支配するカシミール地方で4月に発生した大量殺戮(さつりく)を受け、両国の対立は激しさを増している。
インド側は「テロ組織のインフラ」を標的にしたとして、「ラシュカレ・トイバ(LeT)」と「ジェイシモハメド(JeM)」の武装組織の施設を攻撃したと説明。当局者は記者会見で、パキスタン支配下カシミール地方や同国パンジャブ州内にある訓練キャンプの位置を示す地図を公開した。インドのミスリ外務次官は、4月の攻撃についてあらためてパキスタンを非難し、同国が係争地で「テロ」を支援していると訴えた。パキスタンは関与を否定している。
JeMの指導者は、空爆で5人の子どもを含む親族10人が死亡したと明かした。同組織はカシミール全域で活動し、インド支配下地域をパキスタンと統合することを目指す。米国と国連安全保障理事会は2001年にJeMをテロ組織に指定した。
パキスタンのシャリフ首相は、軍に「自衛」のため「相応の措置」を取るよう指示した。空軍がインド空軍機5機を撃墜したとの報告を受け、首相は空軍を称賛。アシフ国防相は、パキスタン政府が「全面戦争」を避けようとしていると述べ、攻撃対象をインド国内の軍事施設に限定し、民間人を狙わないと強調した。
インドは米国など各国に対し、パキスタンにテロ支援を止めるよう働きかけるよう要請したと政府関係者が明かした。ジャイシャンカル外相は「世界はテロに対してゼロトレランス(寛容度ゼロ)を示すべきだ」と強調した。モディ首相は公の場で発言していないが、閣僚らと高官級会合を開いた。
フランス情報当局の高官がCNNに語ったところによると、パキスタンはインド空軍のラファール戦闘機1機を撃墜した。フランス製の高性能機が実戦で失われたのは初めてとみられる。パキスタンはインド空軍の戦闘機5機を撃墜したと主張しているが、インド側はコメントしていない。
パキスタンと同国支配下カシミール地方での死者は31人、負傷者は57人に増えたと軍幹部が発表した。一方、インド側は、パキスタン軍の夜間砲撃によりインド側のカシミール地方で民間人12人が死亡、57人が負傷したと説明した。
インド支配下のカシミール地方では当局が危険地域の住民に避難を命じた。パキスタン側の住民も、インドのミサイル攻撃を受けて家を離れ避難所に身を寄せている。