台湾総統、ハワイとグアム訪問へ 中国政府の怒り招く
台北(CNN) 台湾の頼清徳(ライチントー)総統は近く行う太平洋地域の外遊中、ハワイと米領グアムを訪問する見通しだ。中国はこの動きを非難しており、対応として台湾周辺で新たな軍事演習を展開する可能性がある。
30日から始まる外遊で、頼氏はマーシャル諸島、ツバル、パラオを訪れる。これらの太平洋の国々は、台湾と正式に外交関係を結ぶ12カ国に含まれる。訪問に当たり頼氏は、ハワイに2泊、グアムに1泊それぞれ滞在する予定。同氏が米国の領土を通過して移動するのは、5月の総統就任以降初めて。台湾総統府がCNNに明らかにした。
米国領に滞在中、頼氏は「旧友と会談」する見通しの他、複数のシンクタンクとの非公開の会議に臨む。台湾の中央通訊社(CNA)が伝えた。
歴代の台湾の総統は、外交関係を結ぶ国々を訪問する際、しばしば非公式の形で米国に立ち寄ってきた。正式な外交関係こそないものの、米国は依然として台湾にとって最も重要な支援国であり、武器の供給国であり続けている。
今回の外遊予定は、早くも中国政府の怒りを買っている。中国国防省の報道官は28日の記者会見で、中国軍として「台湾の独立を志向するいかなる分離主義的企ても断固として打ち砕く」と牽制(けんせい)した。
中国政府で台湾問題を担当する国務院台湾事務弁公室も、頼氏の米国訪問を「挑発行為」と形容。米国に対し「台湾の独立を目指す勢力に向けて誤った合図を送るのを止める」よう求めた。
中国で実権を握る共産党は台湾を領土の一部と主張。これまで実際に支配したことは一度もないが、台湾を勢力下に置くためなら武力の行使も辞さないと再三述べている。一方の台湾政府は、独自の主権を有していることを強調する立場だ。
地域の諜報(ちょうほう)評価を引用し、ある台湾の高位当局者はCNNの取材に答え、頼氏の就任後初となる外遊を受け、中国側が台湾周辺海域での新たな軍事演習に踏み切る恐れがあると指摘する。
年初来、中国政府は台湾周辺での軍事演習を5月と10月の2度実施した。
もしまた軍事演習が行われるのであれば、規模の面で10月のものと同程度になる可能性がある。CNNが入手した台湾の安全保障関連の文書はそう分析している。