隣国の石油資源豊富な地域「領有」、国民投票で賛成多数 ベネズエラ

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ガイアナの河口に作られた沖合油田開発のための人工島/AP Photo/Matias Delacroix

ガイアナの河口に作られた沖合油田開発のための人工島/AP Photo/Matias Delacroix

(CNN) 南米ベネズエラでこのほど国民投票が行われ、石油資源の豊富な隣国ガイアナの一部地域の領有に圧倒的多数が賛成する結果が出た。両国は長年にわたり領土を巡る激しい論争を繰り広げているが、近年の大規模な海底油田の発見を受け、対立に拍車がかかっていた。

国民投票の対象となったのは密林に覆われた「エセキボ地域」。フロリダ州とほぼ同じ面積で、ガイアナの国土の約3分の2を占める。

3日に行われた国民投票では、エセキボ地域にベネズエラの州を創設し、住民にベネズエラ国籍を与え、「同州をベネズエラ領の地図に組み込む」ことの是非が問われた。

投票の初期段階の結果を発表する記者会見で、選挙管理当局は五つの設問のそれぞれで95%以上が賛成と答えたと述べた。

ただどのような手順でベネズエラ政府がこの主張を実行に移すのかは不明。

ベネズエラはかねてエセキボ地域について、スペインの植民地時代にはベネズエラの国境内に属していたと主張。当時ガイアナを植民地としていた英国の領土だと認める1899年の国際仲裁裁定を否定する立場を取る。ベネズエラのマドゥロ大統領は、ソーシャルメディア上で反帝国主義感情が盛り上がる中、国民投票の実施に踏み切った。

ガイアナはエセキボ地域の併合に向けた動きを「外的脅威」と強調。先週にはアリ大統領が同地域の軍隊を視察し、ベネズエラとの国境を見下ろす山の上にガイアナ国旗を立てていた。

オランダのハーグに本部を置く国際司法裁判所(ICJ)は国民投票に先駆け、ベネズエラに対し、いかなる行動によってもこの係争地を巡って現在主流となっている状況の修正を図るべきではないとする判断を下した。ICJは来春、この問題での裁判を計画しているが、ベネズエラはこの件に関するICJの管轄権を認めていない。

現状、ベネズエラの州がエセキボ地域に創設される公算は小さく、そうした主張の実現を試みれば、国際社会からの抵抗に遭うのは確実とみられる。

それでも問題に関する言説は激しさを増し、同地域で軍隊を動かすことで両国による威嚇が行われている状況にある。報道によると、地元住民の多くはこうした事態に神経をとがらせている。

ベネズエラでは来年行われる大統領選に向けて、野党側がマドゥロ氏の経済政策などへの批判を強化。専門家からはエセキボ地域を巡る動きについて、困難な政局を対外的な施策によって打開する政権側の思惑があると示唆する声も上がっている。

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