「どこも行く所がない」 イスラエル軍が激しい報復、恐怖に閉ざされたパレスチナ民間人
パレスチナ自治区ガザ地区(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスが7日午前、イスラエルを攻撃したことで、ガザ住民のパレスチナ人からは賞賛と不安の入り混じった声が上がっている。
ガザ住民は、ハマスの攻撃をイスラエルに対する勝利とみなして歓迎する一方で、激しい報復におびえる状況が続く。
イスラエルのロン・ダーマー戦略担当相は8日、イスラエル国内では600人以上が死亡し、死者の数はさらに増える見通しだとCNNに語った。
イスラエル国防軍の報道官は同日、イスラエル軍はガザ地区でハマスが使用した発射装置など800の目標を破壊したと述べた。
ガザのパレスチナ保健当局は、子ども78人を含むパレスチナ人少なくとも413人が死亡したと発表した。
これまでに何度もイスラエルとの衝突を経験しているガザ市民は、大多数が防空壕(ごう)も利用できず、自宅で身を潜めている。ガザは360平方キロほどの面積に約200万人が暮らす、世界でも有数の人口密集地。
外出している住民は、どうしても欠かせない用事がある人か、イスラエルの攻撃による行方不明者を探す人に限られる。道路は破壊され、がれきに覆われて、粉塵(ふんじん)と火薬のにおいが立ち込めている。
サリム・フセインさん(55)は自宅のある建物がイスラエルの空爆の標的にされ、住む家を失った。イスラエルから警告を受けたのは、建物が攻撃される直前だったと話す。
なぜこの建物が攻撃されたのか分からないというフセインさん。わずか5カ月前に家族を連れて引っ越してきたばかりで、「持ち出せたのは衣類だけだった」といい、一家は全てを失い、行く所もないと肩を落とした。
ハマスの侵入を受け、パレスチナ人がエレズ検問所を通ってガザを脱出することはできなくなった。エレズはハマスとイスラエル軍の戦場と化している。
イスラエルのネタニヤフ首相は7日、ガザへの電力、燃料、物資の供給をストップすると宣言した。ただ、イスラエル軍報道官は8日、電力供給のみを停止したと説明している。以来、平時は1日8時間利用できていた電気は、平均4時間しか利用できなくなった。ガザの電力のほとんどはイスラエルが供給している。