中国政府のスローガン、ロンドンのストリートアート街に突如出現 抗議も落書きで対抗
香港や新疆ウイグル自治区、チベットに対する中国政府の弾圧や、1989年の天安門事件を非難する内容の落書きもあった。
ところが7日早朝、そうした全ての落書きが白いペンキで塗りつぶされて消滅した。
ロンドンのこの地域を管轄するタワーハムレッツ区は、迷惑な落書きや違法な落書きを禁止する方針に沿って、問題の落書きを消去したことを明らかにした。中国に関係する落書きのみを消して、同じ壁の別の部分や反対側の壁の落書きはそのまま残した理由は説明していない。
CNNが7日に現場を取材した際、白い壁に残っていたのは、過去数日の出来事を記した付箋(ふせん)のみだった。
しかし壁の沈黙は長くは続かなかった。
正午ごろ、香港出身の若い男性がスプレー塗料の入ったカバンを持って訪れ、白い壁に新しい落書きを描いた。男性が中国語で引用したのはミラン・クンデラの言葉だった。「権力に対する人間の闘いは、忘却に対する記憶の闘いである」
24歳のこの男性は匿名で取材に応じ、2019年に香港で民主化要求デモに参加した後、亡命を求めて英国に来たと説明。「中国で今起きていることは悲惨だ。だが政府は全ての記憶をかき消そうとしている」と訴えた。
7日午後には、壁は再び中国に関する新しい落書きやスローガンやポスターでいっぱいになり、観光客や地元住民が写真を撮っていた。
中国から英国に来て亡命を申請しているという活動家の男性は、過去2日間、ブリックレーンの出来事を見守り、人々と話をして過ごしたという。英国に滞在する中国人が一丸となって、中国共産党に対する反対意見を表明する様子を見て励まされたと話している。