中国の反米ブロガー、米大使館の独立記念パーティー出席で嘲笑の的に

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米独立記念日の祝典に出席した司馬南氏=4日、中国北京の米国大使館/Embassy of the United States in Beijing

米独立記念日の祝典に出席した司馬南氏=4日、中国北京の米国大使館/Embassy of the United States in Beijing

(CNN) 扇動的な米国批判を展開している中国の著名ブロガーが、北京の米大使館で開かれた米独立記念日の祝賀パーティーに出席し、ネットで嘲笑の的になっている。

司馬南氏(67)は中国の愛国主義が先鋭化する中で影響力を強めたブロガーで、SNSを通じて4000万人以上がフォロー。米政府に対する激しい攻撃から「反米の闘士」とも呼ばれる。

同氏はこれまで、米国と北大西洋条約機構(NATO)がロシアを挑発してウクライナの戦争を引き起こしたと主張し、米国による台湾支援を非難、銃暴力や新型コロナウイルスを制御できなかったとして米政府を揶揄(やゆ)していた。

さらに、中国の知識人や起業家、学者などにも矛先を向け、中国に対する「裏切り」や西側との「共謀」を非難していた。

その司馬氏が非難を浴びるきっかけは、4日に在中国米大使館で開かれた米独立記念日の祝賀パーティー出席の様子を伝えた記事の投稿だった。パーティーではハンバーガーやピザなどアメリカンスタイルの料理が振る舞われ、ライブ音楽が流れていた。

司馬氏は5日、「サプライズ! ニコラス・バーンズ米国大使が私をディナーに招待」という見出しの記事を掲載。料理を「素晴らしい」と賞賛し、「ロシア大使館の建国記念祝賀会とは比べ物にならない」と絶賛した(ただし米国のアイスクリームを4スクープ食べた後、アイスクリームはロシア大使館の方がおいしいと結論付けている)。

自身が満面の笑顔でバーンズ大使と握手している写真も掲載し、「戦狼大使のバーンズ氏は、米議会で証言する際は非常に獰猛(どうもう)に見え、私は彼を攻撃する記事や番組を何本も制作した。個人的に会ってみると、彼は気軽に笑う温厚で小柄な老人だった」と論評した。

この記事や写真は、特に普段から司馬氏の超愛国主義的姿勢に批判的だったユーザーの間で、激しいあざけりの的になった。司馬氏は祝賀行事の前日、ウクライナにクラスター爆弾を供給するという米国の提案を「人道に反する行為」と批判していた。

「これこそ典型的な偽善だ。言っていることとやっていることが全く違う」。ウェイボー(微博)にはそんなコメントが投稿された。

「司馬南は反米の先駆者であり闘士だ。プラスのエネルギーを発信する最も人気の高いインフルエンサーの1人でもある。彼が米国の誕生を祝うことは適切なのか?」と微信(ウィーチャット)のユーザーは書き込んでいる。

こうした批判に対して司馬氏は6日、米大使館の祝賀行事に出席したことについて、二国間関係においては人と人との交流が大切だと釈明。「米大使館の独立記念行事に出席したことで米国のスパイと疑われるのであれば、ロシア大使館の建国行事に出席すればロシアのスパイになるのか」と問いかけ、自分は過去に2年連続でロシア大使館の祝賀行事に出席したことがあると言い添えた。

司馬氏は昨年8月にも、米カリフォルニア州に物件を所有していることを認めて謝罪に追い込まれていた。

司馬氏がビジネスのために愛国主義を利用していると批判する声も出ている。

「同氏が本当の信念や姿勢を持つことは不可能。何もかも、どうすれば最大の利益を得られるかに尽きる」「司馬南だけではない。彼は改革開放政策後、利益の追求が信念に取って代わる環境に適応した何百万もの中国人の典型だ。彼らはイデオロギー論を口にするが、心の中では商売のことしか考えていない」。ウェイボーのユーザーはそう指摘している。

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