著名人や団体を糾弾する「キャンセルカルチャー」、シンガポールが法規制を検討

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イベントに集まった同性愛者の権利を主張する活動家=2022年6月、シンガポール/Roslan Rahman/AFP/Getty Images

イベントに集まった同性愛者の権利を主張する活動家=2022年6月、シンガポール/Roslan Rahman/AFP/Getty Images

法務省はCNNに寄せた声明の中で、キャンセルカルチャーは被害者に重大な影響を及ぼす恐れがあると指摘。「自分たちの見解を理由にネット上で攻撃されることを恐れて公の場で実質的な発言ができなくなった人もいる。多くはキャンセルキャンペーンの標的にされることを恐れて自己検閲を行っている」とした。

キャンセルカルチャー対策の法律を制定するためには、まずキャンセル行為とは何かを定義しなければならない。キャンセルカルチャーをめぐる意見の対立を考えると、この作業は著しく困難だと専門家は指摘する。

ピュー・リサーチ・センターによると、「キャンセル」という用語はもともと、相手と別れるという意味の俗語に由来しており、後にSNSで広まった。キャンセル現象に関して同センターが2021年に行った世論調査では、この用語の意味からキャンセルカルチャーの内容に至るまで、米国内に大きな分断があることが浮き彫りになった。

シンガポール経営大学(SMU)のユージーン・タン准教授によれば、キャンセル行為に関して確立された定義は存在しない。従って、法案ではこの定義をはっきりさせる必要がある。

「キャンセルされたという主張は何を意味するのか。被害者はキャンセルされたことをどうやって証明するのか」とタン氏は問いかけ、「精細さを欠いた法律は過度に包括的になり、網羅すべきでない範囲まで網羅してしまう。だが定義が限定的になれば包括性を欠き、網羅すべき重大な行為を網羅できない可能性がある」と危惧する。

さらに、キャンセル行為の大部分はネット上で起きていることから、SNS大手の協力も必要になるだろうと専門家は話している。

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