冷戦最盛期、中国がU2偵察機5機を撃墜した時代<下> 暗号名「カミソリ」

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第5偵察飛行隊「黒猫」の隊員がU2の作業を行う様子=2020年10月22日、韓国烏山空軍基地/US Air Force

第5偵察飛行隊「黒猫」の隊員がU2の作業を行う様子=2020年10月22日、韓国烏山空軍基地/US Air Force

だが、世界はその間に大きく変わっていた。米国はもう台湾と相互防衛条約を結んでおらず、台湾ではなく中国を国家として承認する方針に正式に切り替えていた。

冷戦時代のような米国と台湾の同盟はもう存在しなかったが、米中央情報局(CIA)はパイロット2人を米国に移送し、90年に台湾帰還が許されるまで米国で暮らせるよう便宜を図った。

後悔なし

実は2人の解放時には、CIAがU2プログラムを管理する時代はとうに過ぎ去っていた。米空軍史の記述によると、CIAは74年にU2を米空軍に移管したとされる。

その2年後、空軍の第99戦略偵察飛行隊と同隊のU2は、韓国の烏山空軍基地に配置替えに。指揮官のデービッド・ヤング中佐はこの場所に「黒猫」の愛称を付けた。

現在、この部隊は第5偵察飛行隊の名称で知られている。

だが、米国のU2は今なお「いたちごっこ」を続けており、今もその活動が中国で反発を招くことがある。中国政府は2020年、米国がU2を飛行禁止区域に送り込み、その下で行われている実弾演習への「侵入」を図ったと非難した。

米太平洋空軍は当時のCNNの取材に、飛行を実施したことを認めたものの、規則違反は一切なかったと説明した。

元祖黒猫中隊に関わった隊員の間では、後悔の念はほとんどない。その点は拘束された隊員であっても同様だ。

葉氏はドキュメンタリーの製作陣に、高度7万フィート(約21キロ)の世界を懐かしく思い出すと語った。

「我々は文字通り上空にいた。目にする景色も違っていて、鳥の目から俯瞰(ふかん)しているようだった。あたり一面に広大な景色が広がっていた」

張氏も苦い思いは抱いていない。

「私は空を飛ぶことを愛している」「命が助かったのだから、後悔はない」

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