ロシア、北極圏地域の軍事化に減速みられず 衛星画像で判明
ロシアは長年、極北地域での防衛力の強化に腐心。旧ソ連時代の基地を改修し装備品も加えていた。原油や天然ガス資源の獲得の狙いに加え、核抑止力の維持も重要視してきた。最新型の核兵器や潜水艦の相当な部分も配備してきた。
西側情報機関の高官は、これら核抑止力は常に即応態勢にあったとし、警戒度が決して低位に下げられたことなく終始、高度な水準に保たれているとした。
ただ、ウクライナ戦争の勃発を受け、この地域に派遣される地上部隊の規模には大きな変化があったとも説明。「従来に比べ20~25%削減されたものの海軍の軍事力は全体的に影響を被っていない」と結論づけた。
米国の北極圏研究所の関係者は、ロシアが北極圏でウクライナ戦争による影響の排除に努めてきたのは注目すべきとした。エネルギー源の優先的な確保や国力を誇示する狙いがあったとしても、いずれも経済的な動機に絡むと指摘した。
「ロシアの国内総生産(GDP)の約2割は北極圏に根差し、将来的にはその割合が一層増す可能性がある」とした。
ウクライナ戦争をめぐっては今月、ロシア内奥部にある重要な航空基地が攻撃を受ける展開があった。ロシアはこの攻撃はウクライナ側の仕業と主張しているが、西側情報機関の高官はロシアは攻撃を受け自軍の軍用機や爆撃機を北極園極北部などに散開させたとも明かした。
北極圏は近年、融氷が進むと共にアジアから欧州への新たな商業航路が急速に開けている。ロシアの海岸部に沿ったより短い海路を利用したものとなっている。
ウクライナ戦争はロシアに対抗する北大西洋条約機構(NATO)の勢力拡大につながる事態も招いている。外交的に中立な立場を貫いていた北欧フィンランドとスウェーデンはNATOへの加盟を求める姿勢に大きく転換。この2カ国の加入が実現した場合、北極圏諸国8カ国のうち7カ国が同機構のメンバーとなる。