ANALYSIS

ロシア軍に深く根付いた「残虐行為の文化」

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キーウ近郊のブチャを訪れたゼレンスキー大統領=4日/Ronaldo Schemidt/AFP/Getty Images

キーウ近郊のブチャを訪れたゼレンスキー大統領=4日/Ronaldo Schemidt/AFP/Getty Images

ウクライナのベレシチューク副首相は3日、SNSに投稿したメッセージで「現在、キーウやヘルソン、ミコライウ、ドネツク各州で計11人の首長がロシアの拘束下にある」と説明。ウクライナ政府には2日、キーウ州モティジン村のスチェンコ村長がロシア軍による拘束中に殺害されたとの情報が寄せられていたという。

ロシア軍に一時拘束されたものの、捕虜交換の一環で解放された南部メリトポリのフェドロフ市長は、ロシアの占領軍が地元の事業を乗っ取っていると指摘。「難しい状況だ」と訴え、「ロシア軍は自分たちが当局だと宣言しているが、もちろん彼らは市民やその問題には関心がない。経営者から金を奪って事業を接収することにしか関心がない」と語った。

ウクライナ侵攻のはるか前から、ロシア軍に残虐行為の文化があるとの指摘は絶えなかった。ロシアは契約兵と徴集兵を組み合わせたシステムを採用する。ロシア政府は軍のプロフェッショナル化を推進していると主張するが、ロシア軍には「デドフシチナ」と呼ばれる過酷なしごきが存在し、この悪名高い伝統が原因で、年長の徴集兵による若い徴集兵の殴打や残忍な仕打ち、さらにはレイプが横行している。

プーチン大統領は最近、春の徴兵令を発表し、軍に13万4500人を招集する目標を据えた。プーチン氏は当初、徴集兵はウクライナでのいわゆる「特別軍事作戦」に参加しないと主張していたが、その後ロシア国防省は徴兵者が戦闘に参加していることを認めた。ウクライナ軍はロシアの徴集兵を多数捕虜にしたと主張している。

キーウ周辺や北部チェルニヒウをはじめ、ロシア政府の支配から解放される地域が増えるなか、既にウクライナの捜査機関はロシア軍による犯罪があったとみて刑事捜査に着手した。

ブチャで起きたことの全容が明らかになるまでには数日、もしかしたら数週間かかるだろう。だが、もし過去が手がかりになるとすれば、ロシアの加害者が裁かれる見込みは薄そうだ。

本稿はCNNのネーサン・ホッジ記者の分析記事です。

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