ロシア軍制圧下で料理人の抵抗、パンを焼き苦境の市民へ分配 ウクライナ南部

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パンを焼いて食料に困っている市民に配っているパブロ・セルベトニックさん/Servetnyk Pavlo

パンを焼いて食料に困っている市民に配っているパブロ・セルベトニックさん/Servetnyk Pavlo

(CNN) 侵攻したロシア軍が制圧したウクライナ南部のヘルソン市で、退避せずに踏みとどまり、毎日パンを焼いて食料に困っている市民に配る抵抗戦術を続けている男性の料理人がいる。

パブロ・セルベトニックさん(28)で、侵攻が始まって以降、満足な睡眠も取らず夜明けから1日20時間働き、数千個のパンを作っている。この後、トラックや車に積み、人影が消えた通りを走って、食料がろくに届かない苦境にある住民にわけている。

同市の人口は約30万人。ロシアの侵攻で最初に陥落した主要都市でもあった。先月24日の侵攻開始後、ウクライナ国民の生存をかけた戦いは厳しくなっている。基本的な生活物資の供給は乏しくなり、寒さは募り、多くの都市はロシア軍の激しい砲撃にさらされている。

国民は共通の敵を前に団結して、銃を手にしない抵抗の手段を模索し続けている。ヘルソン市でも最近、数百人の市民が路上に出てロシア軍による銃声や兵士の姿を無視して抗議活動を起こした。

トラックを使ってパンを配達している/Servetnyk Pavlo
トラックを使ってパンを配達している/Servetnyk Pavlo

ただ、市民の大半は逃避したり、市内全域に検問所を構えているロシア軍兵士との遭遇を怖れ、家内などにこもり続けたりしている。

セルベトニックさんはCNNの取材に、数時間のパン焼きの作業を終えた後、体のあちこちが痛いし、ドアを開けられないともこぼした。侵攻前は料理人として成功を収めていた。2019年にはウクライナのマスターシェフの称号を獲得。ヘルソンでピザ料理店を営んでいた。

侵攻が生活を一変させた。「パンもなかった。崩壊だった」と思い返した。ロシア軍が同市に侵入したのは3月2日。市長は5日までには進駐が始まり、撤退の兆しはないと認めていた。

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