デンマークと米国のスパイ疑惑、フランスとドイツが明確化要求
(CNN) デンマークの情報機関が米国に協力してドイツのアンゲラ・メルケル首相など欧州の要人に対するスパイ活動に関与していたと報じられたことについて、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は5月31日、「全面的な明確化を求める」と表明した。
マクロン大統領はメルケル首相とオンライン首脳会談を行った後に発表した声明で、もし真実だとすれば、こうした行為は「同盟国間では容認できない。欧州の同盟国やパートナー間ではなおさら容認できない」と強調した。
米国家安全保障局(NSA)がメルケル首相の携帯電話を盗聴していたという疑惑は、NSAの活動にかかわった エドワード・スノーデン容疑者の告発によって2013年に発覚した。ドイツ連邦検察は捜査に乗り出したものの、証拠不十分で2015年に立件を断念した。
しかしデンマークの公共放送DRの5月30日の報道としてロイター通信が伝えたところによると、NSAがデンマークの国防情報機関(FE)との協力関係やデンマークのインターネットケーブルを利用して欧州の要人に対するスパイ活動を行っていたとする疑惑について、FEは2014年に内部調査を開始した。
DRはFEの調査に近い関係者9人に取材している。
デンマーク国防相はCNNに寄せた声明で「情報機関に関するメディアの臆測についてはコメントしない」とした。FEもNSAもコメントを避けている。
メルケル首相は31日、同盟国間の盗聴は容認できないというマクロン大統領の見解に同意すると述べ、「明確化を求める我々の姿勢は何も変わっていない」と強調した。
DRの調査報道によれば、スウェーデンやフランス、ノルウェーの高官に対するスパイ活動にも、デンマークの情報ケーブルが利用されていた。