辞任表明のレバノン首相側近、「サウジが首相の行動制限」

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辞任を表明したハリリ氏

辞任を表明したハリリ氏

ベイルート(CNN) レバノンのハリリ首相が訪問先のサウジアラビアで突然辞任を表明した件に関連し、レバノン政府は、サウジ側がハリリ氏の行動や通信を制限しているとみていることが11日までに分かった。高位閣僚筋がCNNに明かした。

ハリリ氏はレバノン政府に「自分の考えを自由に伝えていない」状態で、通常はサウジの国益と足並みをそろえるハリリ氏の政治勢力も「何が起きているのか分かってない」という。

ハリリ氏は4日、サウジ首都リヤドからのテレビ演説で辞任を表明。これを受け今週、サウジがハリル氏自身の意に反して同氏を拘束しているのではないかとの臆測が広がっていた。

一方、サウジはハリリ氏の辞任を強制したり、同氏を自宅軟禁下に置いたりしていることを否定。ハリリ氏はレバノンとサウジの2重国籍を保有しており、リヤドに住宅を所有している。

ハリリ氏の事務所は10日、同氏の所在をめぐり疑問が提起されたことを受け、ハリリ氏がリヤドの住宅にイタリアとロシアの大使を迎えたと明らかにした。

ハリリ氏の突然の辞任を受け、レバノンは政治的な危機に陥っており、中東でのイランの影響力増大に警戒を強めるサウジやイスラエルとの対立を懸念する声が広がっている。イスラム教スンニ派が多数を占めるサウジはシーア派主導のイランと数世紀にわたるライバル関係にあり、レバノンは両国による代理紛争の新たな舞台の様相を呈しつつある。

ハリリ氏の所属する政党「未来運動」は先ごろ、同氏の安全な帰国を要求し、ハリリ氏の帰国はレバノンへの「配慮と尊重を回復するために必要な」措置だと主張した。またレバノン国営通信によると、アウン大統領も10日、同国駐在サウジ外交官との会談でハリリ氏の帰国を求めたという。

ハリリ氏は辞任理由となった同氏の命を狙う勢力を名指ししなかったものの、イランがレバノンなど中東各国に干渉していると非難。イランが支援するイスラム教シーア派組織ヒズボラにもその矛先を向けた。

ヒズボラの指導者は10日、サウジがレバノンに干渉し、ハリリ氏を拘束し自宅軟禁下に置いていると批判。また、サウジがレバノンとヒズボラに対する戦争用の資金としてイスラエルに数十億ドルを供与したとも主張した。

ハリリ氏の辞任表明を受け、各国が状況把握のためサウジ側との接触を試みている。

ティラーソン米国務長官は、ジュベイル・サウジ外相から9日に、ハリリ氏が自身で辞任を決断したとの説明を受けたと発言。ハリリ氏は「米国の強力なパートナー」であり、同国に干渉し代理紛争の舞台に利用しようとする全ての外国勢力に警告すると言明した。

フランスのマクロン大統領は9日夜に予定になかったリヤドへの訪問を行った。フランスのルドリアン外相は、大統領の訪問はサウジ側の招きに応じたものだったと説明。フランスとしては、ハリリ氏には行動の自由があるとの認識を示し、同氏が最近アブダビを訪問することもできたと指摘した。

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