フィリピン麻薬戦争 英国人貴族の娘が射殺される
(CNN) 麻薬撲滅への取り締まりが続くフィリピンだが、首都マニラ近郊で、英国人貴族の娘が射殺されていたことが20日までに分かった。麻薬撲滅戦争において最も知名度の高い犠牲者の1人となった。
警察によると、3代目モイニハン男爵の娘マリア・オーロラ・モイニハンさん(45)が今月11日未明、ケソン市で射殺されているのが発見された。遺体の脇には「セレブ御用達の麻薬密売人、次はお前の番だ」とのメモが見つかった。
警察はモイニハンさんの件について殺人事件として捜査を進めている。
地元警察によると、モイニハンさんは2013年に逮捕されたことがある。違法薬物の使用により訴追された。大麻やメタンフェタミン、エクスタシーを所持しているのが見つかったが、密売の容疑には問われなかったという。
英紙デーリー・テレグラフによると、モイニハンさんの父、故アントニー・モイニハン男爵は1960年代後半にフィリピンに移住した。その前は打楽器ボンゴのドラマーや麻薬密輸業者、警察への情報提供人など、多様な職業を経験していたという。
マニラではヘロイン売買に関与。オーストラリア王立委員会が1980年に発表した麻薬使用に関する報告書によると、豪シドニーを拠点にする「ダブル・ベイ・モブ」の一員として活動した。
モイニハン男爵は麻薬関連の罪で有罪判決を受けたことはないものの、ウェールズ出身の有名な大麻密売人との会話をひそかに記録し、この人物の米国での収監につなげたこともある。
フィリピンではドゥテルテ大統領が打ち出した大規模な麻薬摘発作戦による死者が相次いでいる。当局の統計によると、6月以降で1100人以上が警察により殺害された。