金正日氏の元警護官、収容所の飢えと暴力を語る
ソウル(CNN) 両脚のすねに数十本の傷跡、わずかに残された歯――。北朝鮮の強制収容所で5年間を過ごした末に脱北を果たした李永国(イヨングク)さんが、当時の過酷な日々を振り返った。
李さんは故・金正日(キムジョンイル)総書記が北朝鮮の最高指導者となった1994年までの10年間、正日氏の警護官を務めていた。当時は忠実に仕えて円満退職したが、後に北朝鮮の外へ出てから初めて、正日氏が独裁者だったことをはっきりと認識した。
李さんは退職後に韓国への脱出を試みたものの中国で拘束され、政治犯を収容する耀徳(ヨドク)強制収容所へ送られた。初めて足を踏み入れた時、収容者たちの骸骨(がいこつ)のような姿に驚いたことを、今も覚えているという。
「食べ物はほとんど与えられなかった。さらにひどかったのは、絶えず殴られ続けたことだ。毎週だれかが処刑され、その現場を見ることを強制された。精神的に強くなければやっていけない」と、李さんは語る。入れ歯を外すと、わずかに残ったぼろぼろの歯。ライフル銃の台尻で殴られ、片目の視力を失った。