イラク戦争で得られた5つの教訓

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イラクから引き上げる米軍。今後、「教訓」は生かされるのか

イラクから引き上げる米軍。今後、「教訓」は生かされるのか

シーア派が他の2者を公平に扱うと信じて。しかし、そうはならなかった。クルド人は自らを守るためにイラク北部に自治区を作っており、そこは事実上の国家といえる。パスポートを発行し、クルド語が話され、自前の軍隊も保有している。スンニ派による内乱は現在も続いている。暴力行為は減少しているものの、イラクでは依然として重要な取り組みに何の進展も見えない。つまり、イラクの北部地域は分裂し、国の中心部では毎日のように暴力が頻発しているということだ。

選挙を実施する前に憲法を制定せよ

米国は、選挙に突入する前に、憲法と基本的な法律を整備しようとしていた。しかし、米国は占拠の最初の年に失敗を繰り返し、シーア派からの支持を絶対的に必要としていた。そして、そのためには早期の選挙を認めるしかなかった。こうした選挙によって、イランから長年の支援を受けていたシーア派の宗教政党が権力を握ることになった。

マリキ首相が率いる政党をはじめとするこの集団は、自由や法秩序にはほとんど興味がない。彼らにとって、選挙は権力基盤を固め、反対勢力を抑圧し、宗派間の対立を続けるためのひとつの方法に過ぎない。リベラリズムや寛容さがイラクから消え去った最も明確な兆候はキリスト教徒の人口だ。フセイン時代や戦争を生き抜いたイラクのキリスト教徒も、新しい民主的なイラクから身の危険を感じて逃げ出した。いまでは、イラクにキリスト教徒はほとんどいない。はるか昔からこの地域に住んでいたにもかかわらず。

イラク戦争から得られた教訓はこれだけではないだろう。しかし、これらの多くは留意する価値のあるものだ。アフガニスタンに目を向ければ、パシュトン人とそうでない人たちとを含んだ全ての関係者と取引を行うという問題に当てはまるだろう。シリアに関していえば、少ない人的・物的資源と多くの善意で効果的に介入できるかどうか自問する必要がある。

そして、こうした難問を検討する際には、常に物事がうまくいかなくなることがあるだろうかと自問し、少なくともそれに備えなければならないだろう。なぜなら、もしイラク戦争から学ぶものがあるとすれば、それは、遠くの土地で行われる複雑な戦争では、うまくいきそうにない事柄は実際にうまくいかないことが多いからだ。

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