授乳中の母親を乳児から引き離した米移民当局、妻の解放求め戦い続ける元海兵隊員の夫

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エイドリアンさんとパオラさんとリンちゃん/Courtesy Adrian Clouatre

エイドリアンさんとパオラさんとリンちゃん/Courtesy Adrian Clouatre

「私たちは結婚しているし、私は退役軍人だから、少なくとも国外退去命令は解決できて、妻が拘束されることはないと思っていた」とエイドリアンさんは振り返る。

国土安全保障省の広報はCNNの取材に対し、パオラさんは不法に滞在していると述べ、ドナルド・トランプ大統領と同省のクリスティ・ノーム長官は「法の支配を無視しない」とコメントした。

同広報によると、パオラさんは5月27日に移民審査やり直しの緊急申し立てを行っており、この申し立てに関する決定を待っている状況だという。

クロアトルさん夫妻はトランプ政権の強硬な移民政策の展開を見守っていたが、まさか自分たちの身に降りかかるとは思っていなかったという。「犯罪者に焦点を当てると彼らは言っていたので、そうなるんだろうと思っていた」「それなのに、妻のように両親に連れて来られて何の罪も犯していない人たちを罰する理由がどこにある?」とエイドリアンさんは疑問をぶつける。

夫の必死の訴え

パオラさんが拘束された時、まだリンちゃんは授乳が必要だった。このためエイドリアンさんは飲食店で働きながら2人の子どもたちの面倒を見て、週に2回は車で4時間かけて妻が留置されているICEの施設を訪れている。妻の搾乳機の使用を認めるよう、懸命に働きかけたのもエイドリアンさんだった。

「妻は搾乳できるようになったけれど、そのたびに捨てなければならない。妻が授乳できるよう、私はできる限り赤ちゃんを連れて行こうとしている」

17年から22年まで情報スペシャリストとして海兵隊に所属していたエイドリアンさんは、その経験が一家を襲った悪夢を耐え抜く助けになっていると打ち明けた。

しかしルイジアナ州の施設に留置されているパオラさんの状態については不安が募る。「妻は頑張ろうとしている」「弁護士や私が毎日妻のために戦っていることも知っている。しかし部屋には100人以上の人がいて、静かになることはない。消灯して3時間続けて眠るのがやっと」「そのため妻は消耗し、精神状態が悪化している。施設でセラピストと話して助けてもらっている」

エイドリアンさんは書類を整えて申し立ての手続きを続ける傍ら、ホワイトハウスに手紙を書いて、妻の永住権を認めてほしいと訴えた。手紙ではパオラさんの境遇について「人道に反して米国人の小さな子ども2人と、米国の退役軍人の夫から引き離されました」と記している。

「お願いです、トランプ大統領。我が国の退役軍人に敬意を表し、この容赦ない強制送還制度によって引き裂かれた米国人の家族を思いやって、どうか私の家族を再会させてください」

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