移民を南スーダンなど第三国に強制移送 トランプ米政権の措置、最高裁が認める判断
(CNN) 米最高裁は23日、滞在資格のない移民をアフリカの南スーダンなど出身国以外の第三国へ最小限の通告で強制移送する措置について、再開を求めたドナルド・トランプ大統領側の訴えを認めた。政権にとっては大きな勝利だった。
下級審では国土安全保障省に対し、移民を強制移送する場合は書面で移送先を通知し、拷問の恐れを理由とする不服申し立ての機会を与えるよう命じていた。この命令に対してトランプ政権側が不服を申し立てていた。
今回の判断について、最高裁のリベラル系の判事3人は強く反対した。
連邦地裁のブライアン・マーフィー裁判官は先に、適正手続きなしに移民を第三国に強制移送する政府の措置について、「疑いようのない」憲法違反との判断を示していた。
リベラル系のソトマイヨール最高裁判事は反対意見の中で、多数意見について「無法ぶりに報いる」判断だと批判。トランプ政権は裁判所の過去の命令を「公然と侮辱している」と断じた。
最高裁は今回の決定の理由説明は行っていない。
今回の判断は最終的な判決ではなく、不服申し立てで浮上した根本的な法的疑問も解決していない。しかしこの判断によって政権側は、下級審で審理が続く間、この政策を継続できる。
この判断は直ちに現実的な影響を及ぼす見通しだ。
ジョージタウン大学のスティーブ・ブラデック教授によると、最高裁は先月、2件の緊急判断を言い渡し、ベネズエラ国籍の数十万人の暫定保護資格と他の移民数十万人の暫定入国許可の取り消しを認めていた。この2件と併せて、今回の最高裁判断の重大性はあまりに大きいと同教授は指摘する。
「前回までの判断によって最高裁は、これまで強制移送の対象外だった最大100万人の移民について、政府が強制移送の対象として扱う道を開いた。そして本日の判断では政府がこうした個人らを排除して、受け入れに応じる国にはどこであれ移送することを認めた。最初の移送審理を除いて一切の追加手続きなしに、そうした国でどのような扱いを受けるかも構わずに」(ブラデック教授)
政権側は今回の判断を称賛。国土安全保障省のトリシア・マクラフリン報道官は「強制移送機を始動させよ」とXに書き込んだ。
同省のクリスティ・ノーム長官は、最高裁判断と並べてトランプ大統領が躍るGIF画像を投稿した。
これで政権側は、移民を本人とは何の関係もない国に強制移送することが可能になる。歴代政権は、移民を出身国に送還しようとしても、米国との冷え込んだ外交関係などを理由に受け入れを拒まれるなどの障壁に突き当たっていた。