米右派インフルエンサー、ロシアの工作に加担か メディア企業を通し
(CNN) 米国のSNSで人気を集める右派のインフルエンサーたちが、11月の米大統領選などに影響を及ぼそうとするロシアの工作に加担していた可能性が、このほど公開された法廷文書から明らかになった。
文書によると、ロシア国営メディアの幹部らから米南部テネシー州に拠点を置くメディア企業に1000万ドル(約14.2億円)近い資金が流れていたことが分かった。ロシアの幹部2人に、外国の代理人として不正に活動しようとした共謀の疑いと、資金洗浄の疑いがかけられている。
CNNの調べによれば、この米企業はティム・プール氏やベニー・ジョンソン氏ら、著名な右派の論客をコメンテーターに集めた「テネット・メディア」。コメンテーターはロシアの利益になる保守的な主張を広めることで、同国から多額の報酬を受け取っていた。司法省によれば、本人たちに自覚はなかったという。
テネット・メディアは昨年、「異端」のコメンテーターが政治、文化の問題を扱うメディアと称してスタートした。
コメンテーターと同社の契約は個人によって異なるが、幹部らの起訴状によれば、動画制作の報酬として毎月40万ドルを受け取っていた例や、10万ドルの契約金が支払われた例もある。
起訴状によると、ロシア国営テレビRTが、コメンテーターのファン層を使って米国内の対立をあおることを目的に資金を流し、具体的な指示を出していた。
ウクライナ侵攻をめぐり、ロシアの国益に沿った情報を広めるよう働き掛けることもあった。プール氏は先月のライブ配信で、「米国の最大の敵はウクライナだ」などと発言していた。
ただしコメンテーターらはいずれも、ロシアから資金が出ていたとは知らず、自分たちは被害者だと主張している。