米下院共和党、国土安全保障長官の弾劾準備進める 穏健派には迷いも
(CNN) 米下院共和党の有力者らが、マヨルカス国土安全保障長官に対する弾劾(だんがい)の準備を速やかに進めていることが18日までに分かった。手続きの開始を強く検討中だという。閣僚に対する弾劾は異例で、共和党の穏健派から計画への厳しい反発を引き起こす可能性もある。
主要な委員会の委員長らは既に、南部国境で起きた問題についての公聴会を開く準備に入っている。共和党議員らはこれを呼び水に、マヨルカス氏に対する弾劾尋問が可能になると見込む。下院の監視、国土安全保障、司法の各委員会は近く国境における移民の大量流入や安全保障上の懸念を巡って公聴会を開く予定。
このうち弾劾決議を管轄するとみられる司法委員会は、共和党の議員総会で意見の一致を見た場合に正式な手続きを進める態勢を整えている。問題を直接把握する共和党の情報筋1人が明らかにした。下院共和党が発表した最初の弾劾決議案には既に党指導部のメンバーを含む議員らからの支持が集まっている。
共和党の情報筋の1人によれば、国境問題を巡る司法委員会の第1回公聴会は月内か、2月の前半に開催される可能性があるという。
委員長の中からも今回の動きへの前向きな反応が出ており、バイデン政権の閣僚の弾劾が共和党議員の議題の主流を形成するに至ったことが示唆される。
閣僚が弾劾されるのは極めて異例で、米国の歴史上起きたのは1876年の1度のみ。この時、ウィリアム・ベルクナップ陸軍長官は下院で弾劾訴追されたものの、上院で無罪となった。
ただここへ来て、2度目の弾劾が現実味を帯びてきている。マッカーシー下院議長は先に行われた議長選での票集めの過程でマヨルカス氏について、辞任もしくは弾劾の手続きを受けることを求めていた。
実際のところ、共和党議員らの間には様々な意見が出ている。マヨルカス氏の国境管理能力を疑問視する認識を共有しつつも、これを罪として糾弾するのが妥当かどうか現時点で確信を持てない議員もいる。穏健派の議員や、必ずしも共和党支持ではない選挙区から選出された議員らがこれに該当する。
2020年の大統領選でバイデン氏が勝利したネブラスカ州選出のドン・ベーコン下院議員は、CNNの取材に答え、「国境の状況は大惨事であり、バイデン政権による完全な失態だ」と批判する一方、「無党派層や、支持政党をその都度変える有権者が弾劾に関心を持つとは思わない」と述べた。
議長選の際、弾劾の可能性に関する警告を発したことについて17日に問われたマッカーシー氏は、マヨルカス氏が役職に留任するべきではないとの考えを改めて示唆した。その上で「我々にできるのは実態を調査することであり、その調査が弾劾尋問へとつながる可能性はある」と強調。調査の結果、マヨルカス氏の「職務怠慢」が明らかになれば、弾劾に発展するかもしれないと付け加えた。