パリ五輪開会式の「青い人」、記憶に残るパフォーマンスを擁護

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開会式のパフォーマンスで、ギリシャ神話の酒の神を演じたフィリップ・カトリーヌ氏(画像右下)/Ludovic Marin/Pool/AP

開会式のパフォーマンスで、ギリシャ神話の酒の神を演じたフィリップ・カトリーヌ氏(画像右下)/Ludovic Marin/Pool/AP

(CNN) それは歴史上最もユニークと評されるパリ・オリンピック(五輪)開会式の出し物の中でも、特に記憶に残る瞬間の一つだった。その一方で、今や世界中で論争を巻き起こす場面ともなっている。

問題のシーンについて、一部の批評家はダビンチの「最後の晩餐(ばんさん)」のパロディーであり、女装したアーティストや大勢のダンサーが登場する内容だったと説明した。

パフォーマンスにはフランスのエンターテイナー、フィリップ・カトリーヌ氏も参加。ギリシャ神話の酒の神、ディオニソスを演じた。そのキャラクターはたちまち「半裸の青い男」として知れ渡った。

この場面でカトリーヌ氏は歌を歌い、テーブルに寝そべった。衣服は身に着けていない様子で、頭からつま先までの全身を派手な青色に塗っていた。

同氏の姿はソーシャルメディア上で拡散し、世界中で膨大な数の人々が視聴した。CNNのインタビューに答えたカトリーヌ氏は、「裸」と題した自身の歌について、平和のメッセージであり、ガザやウクライナでの戦争に感化されて作ったものだと説明した。

「もし我々が裸のままだったら、戦争は起きただろうか? 答えは恐らくノーだろう。裸であれば銃も短剣も隠すことが出来ないから」と同氏は述べ、「人に危害を加えないという理念が裸の人という演出には込められている」と明かした。

また裸という設定については、五輪の起源である古代ギリシャの競技会のイメージが背景にあるとも説明。絵画などで見るこれらの競技会の参加者もまた、衣服を身に着けていないと指摘した。

パリ五輪の組織委員会は、問題の場面に関して謝罪を表明した。カトリック教会やキリスト教徒の団体から批判が寄せられたことを受けての措置だった。

仏カトリック教会は、当該のパフォーマンスには「キリスト教を愚弄(ぐろう)、嘲笑する場面が含まれていた」と主張した。

組織委の広報担当者はこれに対し、どのような宗教に対してもこれを軽蔑する意図は全くなかったと釈明。一方、開会式の芸術監督を務めたトマ・ジョリー氏は、当該の場面の演出について、ダビンチの「最後の晩餐」にちなんだものではなかったと主張した。

カトリーヌ氏は、パフォーマンス中の自身の姿が見る人に衝撃を与えたとしたなら「大変申し訳なく思う」と述べた。しかしそれは自分の意図するところではなく、このような結果を招いたのは「誤解」が原因だとの認識を表明。決して「最後の晩餐」を表現した内容でもなかったと強調した。

その上で、「私はキリスト教徒として育った。キリスト教で最も素晴らしいことは許しだ。私にとって最も美しいもの、それが許しだ」「だからもし、誰かを不快にさせたのであれば私は許しを請う。世界のキリスト教徒は、きっと私を許してくれるだろう。問題の大半は誤解によって生じたのだと分かってくれるだろう」と付け加えた。

批判を浴びた一方で、カトリーヌ氏に対しては豪華な開会式の中で記憶に残るパフォーマンスの一つを披露したと称賛する声も寄せられた。

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