アイスクリーム店跡から中世の騎士の全身骨格を発見 ポーランド
(CNN) 東欧ポーランドのグダニスク市にある閉店したアイスクリーム店の下から、中世の騎士の遺体が発見された。
ポーランドの考古学企業アーキオスキャンは22日、CNNに宛てた声明で、専門家が2023年から市の中心部に位置する歴史の古い地区の遺跡で作業していたと明らかにした。最初は騎士の彫像で飾られた中世の墓石を発見したという。
墓石は今月に入り撤去され、13世紀か14世紀ごろに生きていたと考えられる成人男性の完全な骨格が姿を現した。

見つかった墓石/S. Kurzyńska/ArcheoScan
アーキオスキャンの幹部で考古学者のシルビア・クルジンスカ氏は声明で、今回の発見について、「非常に重要」であり「近年のポーランドで最も重要な考古学的発見のひとつ」だと述べた。
墓石は中世に非常に珍重されたゴトランドの石灰岩で作られており、レリーフには、鎖かたびらとレギンスを身に着け、剣と盾を持った騎士が描かれている。
石版の長さは約150センチで、部分的に損傷しているものの、重要な詳細はまだ見ることができる。

見つかった騎士の遺骨は当時の平均身長を大きく上回っていた/S. Kurzyńska/ArcheoScan
クルジンスカ氏は「この墓石は、柔らかい石灰岩から彫られ、何世紀も地中に埋もれていたことを考えると、驚くほど良好な保存状態だ」「騎士は剣を高く掲げ、直立した姿で描かれている。この姿勢は権威と高い社会的地位を象徴していると考えられる」と述べた。
クルジンスカ氏によれば、この墓石は中世後期の墓石の様式とは一線を画している。中世後期の墓石は、碑銘や紋章、キリスト教の十字架といった装飾に限られていた。
「死者の姿が描かれたものはごくわずかで、そのほとんどは教会の床に置くことを想定した平らな石版に彫られた簡略化された彫刻だった」(クルジンスカ氏)

かつて要塞があった場所から騎士の遺体が発見された/S. Kurzyńska/ArcheoScan
今回のように芸術作品と考古学的背景の両方が無傷のまま残っているのはまれだという。
石の下からは身長170~180センチの男性の遺骨が見つかった。これは中世の平均身長を大きく上回っていた。
遺骨は自然な配置で、墓石が本体の埋葬地を示していたことが確認された。予備的な分析によれば、保存状態は良好なことが示された。
「副葬品は発見されなかったものの、入手可能な全ての証拠から、遺体は社会的に高い地位にあった人物、特に高い評価と尊敬を集めていた騎士か指揮官だった可能性が高いことを示唆している」(クルジンスカ氏)
この墓は、グダニスク最古の教会に付属する約300体の遺体が埋葬されている墓地の一部だった。
声明によれば、この教会は1140年に伐採されたとみられるオーク材で建てられており、11世紀後半から14世紀初頭にかけて占領されていた中世初期の要塞(ようさい)に位置していた。
「ここは権力と信仰、埋葬の場所であり、グダニスクの歴史において象徴的かつ戦略的に重要な場所だった」(クルジンスカ氏)
クルジンスカ氏は今回の発見について「13世紀と14世紀のグダニスクの軍事的支配層の生と死、中世の葬儀の伝統、バルト諸国間の文化的なつながりについての貴重な知識の源を提供してくれる」と語った。
専門家が、墓石と骸骨のさらなる分析に取り組んでいる。
石版については洗浄と安定化、記録が行われ、3Dスキャンで失われた断片のデジタルによる復元が可能になる。骨格は人類学的および遺伝学的な分析を行い、騎士の人生について、より詳しく明らかにするほか、頭蓋骨(ずがいこつ)に基づいて顔の復元が行われる予定。