太陽系外から来た隕石、地球に衝突していた 初の「恒星間天体」と米軍が確認

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2014年にパプアニューギニアの沖合で墜落した隕石を米軍が「恒星間天体」と確認/Aliaksandr Marko/Adobe Stock

2014年にパプアニューギニアの沖合で墜落した隕石を米軍が「恒星間天体」と確認/Aliaksandr Marko/Adobe Stock

(CNN) 2014年に太平洋に落下した隕石(いんせき)が、太陽系外からやって来た「恒星間天体」だったことが、このほど公開された米国防総省宇宙コマンドの通知で確認された。恒星間天体の観測は極めて珍しく、地球への衝突が確認されたのは初めてだった。

「CNEOS 2014―01―08」と呼ばれるこの隕石は、14年1月8日、パプアニューギニア北東部の沿岸に落下。当時米ハーバード大学の学生だった研究者のアミール・シラジ氏が19年に行った調査で、恒星間天体と特定していた。

シラジ氏は当時、17年に太陽系で初めて見つかった恒星間天体として知られる「オウムアムア」について研究しており、他の恒星間天体を探す目的で米航空宇宙局(NASA)の地球近傍天体研究センター(CNEOS)のデータベースを調査。その結果、わずか数日で、恒星間隕石と思われる天体を発見した。

同氏が最初に注目したのはこの隕石の速度だった。

隕石は地球に対して秒速約45キロの速度で飛来していた。地球が太陽を周回する速度は秒速約30キロ。研究チームは、動く惑星の上から隕石の速度を測定していたため、秒速45キロは実際の速度ではない。

隕石の速度は地球に対する角度に基づき、太陽に対する相対速度で測定される。今回の隕石は地球の後ろから追突する形で衝突しており、シラジ氏の計算によると、実際の速度は太陽に対して秒速約60キロだった。

続いて隕石の軌道を調べた結果、他の隕石のような閉ざされた軌道ではなく、解放された軌道だったことが判明。つまりこの隕石は太陽の周りを周回しているのではなく、太陽系外から飛来していた。

「恐らくは別の恒星によって形成され、その恒星系からはじき飛ばされて私たちの太陽系に向かい、地球に衝突した」とシラジ氏は推測する。

しかしこの研究は、測定値の精度などを公表していないCNEOSのデータに基づいていたことから、これまで学術誌に発表することができていなかった。

研究チームは長年の間、必要な情報を入手しようと試みていたが、このほど米宇宙コマンドの副司令官から、これが恒星間隕石だったことを確認したという通知を受け取った。

副司令官からの手紙には、NASAに報告された推定速度の正確性に基づき、これが恒星間軌道を表していることを米宇宙軍の専門家が確認したと記されていた。

シラジ氏は既に別の研究に移っていて、この発見については忘れかけていたため、国防総省から届いた手紙を見て驚いたと話している。

同氏の研究チームは科学誌に論文を再提出する準備を進めるとともに、太平洋に落下した隕石の部分回収を試みるチームも編成したい意向だ。ただしプロジェクトの規模があまりに大きくなりすぎるため、実現はできそうにないとシラジ氏は指摘。それでも、この「恒星間天体の聖杯」をもし手にすることができれば、太陽系外の恒星系の謎解明につながる画期的な成果が期待できるとしている。

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