5000年前の人骨からペスト菌、世界最古の犠牲者 感染力は弱かった
(CNN) かつて「黒死病」として恐れられ、中世の欧州で人口のほぼ半分を死滅させたともいわれる腺ペストについて、現在のラトビアで出土した5000年前の狩猟採集民の男性の人骨から、ペスト菌が見つかったという研究が発表された。
この男性は世界最古の腺ペスト犠牲者だったと思われる。ペスト菌が出現したのはこれまで考えられていたより何千年も前だったことが分かったと研究チームは解説している。
この研究は、ドイツとラトビアの共同研究チームが6月29日の米科学誌セルリポーツに発表した。
ペスト菌が見つかったのは推定20~30歳の男性で、この菌をもつネズミにかまれ、死亡したと思われる。頭蓋骨(ずがいこつ)は1800年代に発掘されていたが、間もなく所在が分からなくなり、2011年になってドイツの人類学者ルドルフ・フィルヒョウのコレクションの中から見つかった。
研究チームはこの人骨と、同じ場所から出土した別の3体の標本について、病原菌やウイルスの病原体を特定するため、歯や骨から採取した検体のゲノム配列を調べた。4人とも同じ狩猟漁業採集民の集団に属していたと思われる。