アシナガバチ、思ったより賢い? 「論理的推論」で行動か 新研究

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アシナガバチが、物事の関係性を理詰めで推論している可能性があるとの実験結果が出た/Shutterstock

アシナガバチが、物事の関係性を理詰めで推論している可能性があるとの実験結果が出た/Shutterstock

(CNN) 動物が個体同士の強さや社会的な序列を予測する際に行うとされる「推移的推論(TI)」について、昆虫のアシナガバチも同様の行動をとる能力を持つ可能性があるとする実験結果がこのほど発表された。

過去数十年の研究により、TIは人間やサルに加えて鳥や魚といったその他の脊椎(せきつい)動物にも認められる行動であることが分かってきた。ただ無脊椎動物に関してそうした行動が示唆されたのは、今回のアシナガバチのケースが初めてとなる。

研究チームは2種類のアシナガバチを使い、異なる2つの色を見せてそれぞれを識別できるように訓練した。色はA、B、C、D、Eの記号を付けた5色を用意し、ハチに見せる2色のうち1色には弱い電流を流しておく。AとB、BとC、CとD、DとEのペアで、それぞれ後者の色に電流を流し、テストを繰り返してハチに識別させた。

その後、新たにBとD、AとEをペアにして後者に電流を流し、ハチに見せたところ、偶然より高い確率で電流の流れていない色を選ぶ結果が出たという。

実験に携わった米ミシガン大学の生物学者、エリザベス・ティベッツ氏は、電流を避けたいハチが実験の前段階で色と電流の関係を把握し、新たに現れたペアに対処する際の判断材料にしたと分析する。これは既に理解した関係性を手掛かりに、未知の関係性について推論するTIの手法に通じる行動だと考えられるという。

以前行われたミツバチを使った同様の実験では、TIの兆候を示す結果は得られなかった。この時はミツバチの持つ神経系が小さいことが理由と思われたが、今回実験対象となったアシナガバチの神経系の大きさはミツバチと同程度だ。

ミシガン大のティベッツ氏は結果の違いについて、アシナガバチとミツバチの社会的な環境の差異によるものだとみる。

ミツバチのコロニーが1匹の女王バチに率いられているのに対し、アシナガバチのコロニーでは子どもを産む役割を担う多くのメスバチが強さを競い合っている。こうした状況の中でアシナガバチの行動は複雑化し、TIにより個体同士の序列に関する判断を素早く行っている可能性があるという。

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