米FRB、政策金利の据え置きを決定 トランプ関税影響を見極め

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記者会見に臨む米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長=7日/Andrew Harnik/Getty Images

記者会見に臨む米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長=7日/Andrew Harnik/Getty Images

ワシントン(CNN) 米連邦準備制度理事会(FRB)は7日、政策金利を据え置くと決定した。トランプ米大統領が進める無計画な貿易戦争が国内経済にも影響を及ぼしつつある。

政策金利は現状の年4.25~4.50%を維持する。

米当局者は、トランプ氏が進める大幅な政策変更が経済にどのような影響を与えるのか見極めることが重要だとの見方を示す。FRBは声明で、失業率とインフレの上昇リスクが高まっていると指摘した。この有害な組み合わせは、物価上昇と景気低迷が同時に進む「スタグフレーション」として知られる。

FRBのパウエル議長は記者会見で、トランプ氏の政策により貿易摩擦が続くなか、不確実性が高まっているとの認識を示した。パウエル氏は、スタグフレーションの脅威が高まっていると改めて強調しつつ、米国の労働市場は依然として経済にとって安心材料だとも述べた。

トランプ氏の進める関税措置はすでに経済成長に打撃を与えており、パウエル氏は輸入の急増がその原因だと指摘した。米国の2025年1~3月期の国内総生産(GDP)は3年ぶりにマイナス成長を記録した。これはトランプ関税の影響を回避しようと国民が商品の購入に向かい、輸入が急増したためだ。輸入が輸出を上回ったため貿易赤字が拡大し、それがGDPの減少につながった。

それでも米経済は破滅の淵にいるわけではない。4月の失業率は4.2%と低水準で推移し、雇用は17万7000人増加した。

堅調な労働市場などにより、FRBは政策金利の据え置きができている。経済は現時点では、利下げによる支援を必要とはしていないようにみえるからだ。FRBは声明で、輸入の急増がGDPに影響を及ぼしたものの、「経済活動は引き続き堅調なペースで拡大している」と述べた。

一部の専門家からは、経済の回復力が永久に持続するのか疑問視する声も上がる。さまざまな調査によれば、企業はトランプ氏の進める経済政策によって生じた不確実性に苦慮している。

こうした不確実性の長期化は、雇用計画に影響を与えるほか、消費者の購買意欲をそぎ、最終的には企業投資を阻害する可能性がある。もちろん、関税による価格上昇の直接的な影響もある。何年にもわたって高インフレに直面してきた消費者にとっては、さらなる負担となりそうだ。

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