トランプ氏、カナダ首相と会談 関税は「現状のまま」
(CNN) トランプ米大統領は6日、カナダのカーニー首相と初めてホワイトハウスの大統領執務室で会談を行い、カーニー氏から対カナダ関税の引き下げを納得させるような発言はなかったと述べた。
トランプ氏は「いや、現状のままだ」と述べ、カナダが米国を不当に扱っていると不満を漏らした。同氏は会談前にもSNSに「なぜ米国はカナダに年間2000億ドル(約29兆円)を支給しているのか。無償で軍事保護を提供し、その他にも多くのものを提供している」と根拠のない主張を投稿。「我々は彼らの車も、エネルギーも、木材も、彼らのものは友情以外何ひとつ必要ない」
トランプ氏の「2000億ドル」という主張は真実から程遠い。米国の公式統計によると、2024年の対カナダ貿易赤字は357億ドルだった。
一方でカナダは昨年、米国製品の最大の輸入国だった。
カーニー氏は、カナダが「米国最大の顧客」であるため、自由貿易を回復することは米国にとって有益だとしながらも、協議の結果として6日に貿易協定が発表される可能性は低いというトランプ氏の見解に同意した。
米国はカナダからの輸入が輸出を上回っているものの、両国は特に原材料や農産物の調達において貿易から相互に利益を得ている。
トランプ氏の対カナダ関税は両国に打撃を与える可能性がある。現在、米国に輸出されるカナダ製品のほとんどには、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠していない場合、25%の関税が課せられる。鉄鋼やアルミニウム、自動車、自動車部品も同様だ。
一方のカナダもウイスキーやスポーツ用品、家電製品など、約430億ドル相当の米国製品に関税を課している。
トランプ氏の「カナダにとって米国の州になることははるかに良いことだ」との発言に対して、カーニー氏は「カナダは売り物ではない」とし、交渉の対象ではないと明言。トランプ氏には関税引き下げに向けた交渉に協力するよう求めた。