米報道番組の製作総指揮が辞任表明、独立性の喪失に言及 局はトランプ氏と訴訟
(CNN) 米CBSテレビの看板報道番組「60ミニッツ」のエグゼクティブ・プロデューサーを務めるビル・オーウェンス氏が22日、辞任する意向を表明した。これ以上番組を統括することができなくなったとしている。
CNNが入手したメモの中でオーウェンス氏は番組スタッフに対し、過去数カ月間で従来のような番組運営ができないことが明白になったと説明。番組の立場に基づく独立した決断が下せていなかったとの認識を示した。
その上で、あらゆる角度から番組を守ろうと手を尽くしてきたとしつつ、今後は自分が身を引き、番組を前へ進める考えを明らかにした。
「番組は国にとって非常に重要で、継続しなくてはならない。私がエグゼクティブ・プロデューサーである必要はない」(オーウェンス氏)
同氏による辞任の決断は、米紙ニューヨーク・タイムズが最初に報じた。
米国ではメディアへの信頼感が低下傾向にあり、ホワイトハウスは各社への非難を繰り返している。
昨年11月、トランプ大統領はCBSニュースと親会社のパラマウント・グローバルを提訴。民主党のカマラ・ハリス大統領候補(当時)に対する「60ミニッツ」のインタビューが極めて不適切な形で編集されていたというのがその主張だった。
以降もトランプ氏は、CBSからの放送免許の剥奪(はくだつ)や、連邦通信委員会(FCC)による懲罰を再三求めてきた。
最終的に「60ミニッツ」は当該のインタビューの全映像と書き起こしをFCCに提出。トランプ氏とパラマウントは今月に入り、訴訟を調停することで合意した。
オーウェンス氏の後任は現時点で明らかにされていない。同氏からのコメントは得られなかった。
オーウェンス氏はCBSに37年間勤務。そのうち24年間は「60ミニッツ」の担当だった。
CBSニュースのチーフ・エグゼクティブを務めるウェンディ・マクマホン氏によれば、オーウェンス氏は「向こう数週間」は「60ミニッツ」の担当を継続する。