米下院委員会でUFOに関する説明会、報告書の提出を前に

米下院情報委員会で、UFOに関する非公開の説明会が行われる/Department of Defense/AP

2021.06.16 Wed posted at 19:55 JST

ワシントン(CNN) 米下院情報委員会で16日、未確認飛行物体(UFO)に関する説明会が非公開で行われる。同委員会の日程に詳しい関係者2人がCNNに明らかにした。

数週間後には米情報機関がUFOに関する非機密扱いの報告書を議会に提出する予定。関係者によれば、16日の委員会では米海軍と米連邦捜査局(FBI)が説明を予定している。

米国防総省が未確認航空現象(UAP)と呼ぶ現象について、米議会で説明会が行われ、情報機関が報告書を提出すること自体、異例の展開となる。国防総省内部での争いや、特定の議員からの圧力など長年の内紛を経て、米政府はようやく、些細(ささい)な問題と見なされてきたことを深刻に受け止めようとしているらしい。

説明できない物体の目撃情報が数百件に増えても、国防総省はその調査にどれだけの時間や資源を割くべきかという問題に直面してきた。米軍や情報機関の関係者は、どうすればこの問題をSFの世界から引き離し、国家安全保障に影響を与えうる問題と見なすことができるかをめぐって苦慮している。

複数の関係者によると、この問題に関心をもつ共和・民主両党の主要議員からのプレッシャーがなければ、政府が報告書の提出に踏み切っていなかったことはほぼ間違いない。

国防総省の調査に詳しい元国防当局者によると、同省はこの問題を深刻に受け止めているものの、調査を担当するパイロットや元当局者からは、同省の上層部がこの脅威を軽視または無視していると訴える声が上がっているという。

米政府の調査は宇宙人の有無ではなく、説明不可能な現象の背後関係の究明に主眼を置く

2020年にUAP調査のための作業部会を設置したデービッド・ノークイスト元国防副長官は、「この問題に十分な注意を払った者は誰もが、深刻に受け止める必要性を認識している」と述べ、「だがその輪の外に出ると、頭がおかしいと思われたくない人たちがいる」と語った。

同氏によると、国防総省内部でこの問題を真剣に調査してきた関係者にとって、調査の目的は宇宙人が地球を訪れて海軍パイロットの周りを飛び回っているかどうかではなく、米国の領空内で起きているそうした説明不可能な現象に関する背後関係を探ることにある。特に一部の当局者は、中国やロシアが何らかの次世代技術を配備している可能性があるとして懸念を示す。

報告書は6月下旬に議会に提出される予定だが、それで論議が決着することはなさそうだ。米海軍のパイロットが目撃した不審な物体がエイリアンの宇宙船だったことが確認されるといった、UFO学者が望むような内容も期待できそうにない。ある当局者によると、国防総省のデータベースに登録された目撃情報の多くは、例えば異常気象現象と地平線で観測された気象観測気球の組み合わせだったりする公算が大きい。それでも一部は、米国の領空で活動する敵だったことが判明する可能性もある。

そうした理由もあって、当局者は今回公表する報告書で詳細を明らかにすることには二の足を踏む見通しだ。もし、こうした事案にロシアや中国などの敵国が関与していた場合、米国は情報活動で対抗するためにも、自分たちが知っていることを明かしたくないと考える。

米政府が地球外生命体と接触していたという証明は、別の機会を待つことになりそうだ。

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