ロンドン(CNN Business) 規制措置とワクチン接種が奏功し、新型コロナの新規感染者と死者が大幅に減少した英国では、1月初旬から閉鎖を余儀なくされていた店舗やパブが営業を再開した。
12日には店の外に客が列をなすなど、旺盛な需要を示す光景も見られたが、昨年から続くコロナ対策による不況で、すでに廃業を余儀なくされた事業主も多い。
英国のパブ産業の業界団体、フォーラム・フォー・ブリティッシュ・パブスが推計したところによると、過去1年間で少なくとも2000店が完全に店を閉めた。ほかにも多くの店で再開の見通しのない閉店が相次いだという。感染拡大の期間、政府はこうした事業に向けた救済プログラムを打ち出していたが、廃業を阻止するには至らなかった。
英小売協会によれば、3度にわたる全国的な封鎖措置の間に国内の店舗が失った売上総額はおよそ300億ポンド(約4兆5000億円)。また2019年から20年にかけて、推計で6万7000人の小売り関連の雇用が失われたという。
パブにはまだ、屋外のテーブル席でのみ接客が認められるなどの規制がかかっている。季節外れの低温に見舞われているとはいえ、おそらく英国人は屋外だろうと喜んでパイントグラスを傾けるだろう。
しかし、業界団体の英ビール・パブ協会は、12日に店を開けるとみられるパブについて、全体の4割にとどまると推計する。十分な屋外スペースを確保していない店舗が多いのが理由だ。政府の計画では、屋内での接客が可能になるのは早くても来月17日からとなっている。
業界団体UKホスピタリティーのケイト・ニコルズ最高経営責任者(CEO)はCNN Businessの取材に答え、営業が再開できても社会的な距離を保つ規制が残っていることで各店舗は通常の6割の売り上げしか得られない見通しだと説明。封鎖措置が完全に解除される6月21日までそうした状況が続くだろうと述べた。
「悲しいことだが、これから多くの事業が消えていくだろう。回復までの道のりは遠い。営業を再開する店舗は重い負債を背負うことになる。利益や収入が感染拡大以前の水準に戻るまで、1年半はかかるだろう」(ニコルズ氏)