米NY大学、学生への卒業証書を保留 卒業スピーチでガザの戦闘非難
卒業スピーチでガザでの「ジェノサイド」糾弾 米NY大学
(CNN) 米ニューヨーク大学は、卒業式のスピーチでパレスチナ自治区ガザ地区の「ジェノサイド(集団殺害)」を糾弾した学生への卒業証書を保留する方針を明らかにした。当該の学生が大学の規則に従うとした当初の約束に違反したためとしている。
15日の卒業式で登壇した学部生のローガン・ロゾス氏は、卒業スピーチという場で大勢の人々へ向けて発言するのに唯一ふさわしい内容として、「現在パレスチナで起きている残虐行為を認識すること」を挙げた。
これに対し、大学の広報担当を務めるジョン・ベックマン氏は式の後で声明を発表。大学として当該学生の選択を「強く」非難した。
米国内の大学が卒業シーズンを迎える中、トランプ政権は親パレスチナの抗議デモに関与する学生を取り締まっている。今年に入り司法省は、ニューヨーク大学を含む複数の大学について「反ユダヤ主義の事象を経験した」との見解を示した。
スピーチの中でロゾス氏は、ガザにおけるイスラエルの行為を「ジェノサイド」だと繰り返し言及した。同氏によればそれは「政治的及び軍事的に」米国から支援され、「我々の納めた税金を資金とする形で」実施されているという。
同氏は自らの発言について、「良心を持つ全ての人々、この残虐行為で道徳的に傷ついたと感じる全ての人々を代弁する」意図があると説明した。
ロゾス氏が最初にガザに言及したときには、聴衆から歓声が上がった。背後に座っていた教員の一部も短く拍手を送った。聴衆の側からは何度かブーイングも起こった。
ベックマン氏はロゾス氏を名指ししない形で、登壇した学生が当初伝えていたのと違う内容のスピーチを行ったと示唆。これにより学生は、大学の規則に従うとした自らの約束を破ったと述べた。
その上で、懲戒処分を実行する間は卒業証書を保留するとした。当該の人物が与えられた機会を悪用してこのような発言を聴衆に聞かせたのを、大学として遺憾に思うとも述べた。
CNNはロゾス氏とニューヨーク大学に連絡を取り、詳細な情報を求めた。学生自治会にも連絡し、ロゾス氏のスピーチへのコメントを求めた。
15日夜の時点で、ロゾス氏の学生プロフィルは大学のウェブサイトに掲載されていない。
アーカイブ版のウェブサイトによるとロゾス氏は文化批判学と政治経済学を専攻し、学生劇団にも所属していた。AP通信の報道によれば、今回の卒業式では同期の学生に選ばれる形でスピーチを任されていたという。