銃乱射を生き延びた高校生、沈黙の演説で全米に衝撃

演説を行ったエマ・ゴンザレスさんは、犠牲となった友人たちの名前を読み上げた後、6分20秒が経過するまで沈黙を保った

2018.03.26 Mon posted at 18:03 JST

(CNN) 米首都ワシントンで開かれた「私たちの命のための行進」で演説に立った高校生、エマ・ゴンザレスさん(18)。フロリダ州の高校で起きた銃乱射事件で死亡した同級生ら17人の名を読み上げると、そのまま壇上で沈黙した。

6分20秒。

犯人が銃撃を続ける間、教室に隠れて身を潜めていた時の感情を、ゴンザレスさんは沈黙で表現した。ある専門家はこの演説を、「米社会運動史上、最も声高な沈黙」と評した。

「私は18歳のキューバ系で、バイセクシュアルです」。ゴンザレスさんは米ファッション誌ハーパーズバザーに寄せたエッセーで、自己紹介をそう切り出している。

2月14日、フロリダ州マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で銃乱射が起きた時には、講堂に隠れて事件に関する情報をグーグルで検索し、警察が駆けつけるまで、周りにいた生徒たちを励ました。

父は1968年にキューバから米ニューヨークに亡命した弁護士。母は数学教師。ゴンザレスさんは3年間にわたって在校生でつくる「ゲイ・ストレート同盟」の代表を務め、「もし私が自分自身についてこれほどオープンでなかったら、きっとこんなことはできなかった」と語っている。

髪を短くそり上げたヘアスタイルについては、パワーポイントでプレゼン資料を作って両親を説得したというエピソードも明かしていた。

事件の4日後には、箱の上に立って演説を行い、銃規制強化を訴える高校生の運動の象徴的存在になった。

CNN主催のタウンホール集会では、全米ライフル協会(NRA)広報のダナ・ローシュ氏と対峙(たいじ)して質問を突き付ける場面もあった。ローシュ氏はこの質問に対して直接的には答えなかった。

銃規制強化を訴えて事件の4日後に開設したツイッターのアカウント「@Emma4Change」のフォロワーは100万人を突破、2009年に開設されたNRAアカウントのフォロワー63万6000人を超えている。

米誌タイムは4月2日号の表紙に、ゴンザレスさんをはじめとする同校の生徒を登場させ、「ENOUGH(もうたくさん)」の太文字をあしらった。

メーン州の州議会議員選挙に出馬していたレスリー・ギブソン氏(共和党)は、ゴンザレスさんについて「このスキンヘッドのレズビアンには何の感銘も受けない」とツイート。共和党、民主党双方から非難され、ギブソン氏は出馬を撤回した。

ゴンザレスさんは事件の4日前、ニュー・カレッジ・オブ・フロリダを見学に訪れていた。今も同大に進学する意思は変わらないとピープル誌は伝えている。

「最も声高な沈黙」 エマ・ゴンザレスさんが演説

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