トランプ氏、集会で「シャイロック」に言及 反ユダヤ用語と認識せず
(CNN) 米国のトランプ大統領は4日未明、一部の人々が「シャイロック」という言葉を反ユダヤ主義的と捉えていることについて、自身はそのような認識を持っていないと明らかにした。これに先立つ集会で同氏は、この言葉を発して不道徳な貸金業者を非難していた。
大統領専用機エアフォースワンを降りる際、トランプ氏は「そのように捉えたことは一度もない。私にとってシャイロックとは、高金利で金を貸す人のことだ」「私とは違う見方をしているのだろう。そんなふうに捉えたことは一度もない」と述べた。
トランプ氏は、来年の建国250周年に絡むアイオワ州での集会を終え、ワシントンに戻ってきたところだった。
集会での演説中、トランプ氏は主要な国内政策法案をアピールする文脈でこの言葉を使った。法案はその数時間前に議会で承認されていた。
「考えてみて欲しい。死亡税も相続税もなく、銀行に行って立派な銀行家から借金をする必要もない。こうした銀行家は、場合によってはシャイロックをはじめとする悪人たちに他ならない」「彼らは多くの家族を消し去った。多くの家庭を破壊した。我々がやったのはその逆だ」(トランプ氏)
シャイロックはシェークスピアの戯曲「ベニスの商人」の悪役の名。ユダヤ人であるシャイロックは劇中では冷酷な金貸しとして登場し、商人アントニオが借金を返済できない場合には、本人の「肉1ポンド 」をもらうという条件を出すことで知られる。
米ユダヤ系団体「名誉毀損(きそん)防止連盟(ADL)」は4日午前、トランプ氏が演説でシャイロックを持ち出したことを非難。X(旧ツイッター)への声明で、シャイロックという言葉について、「ユダヤ人と強欲に関する何世紀も前の反ユダヤ主義的表現を想起させ、非常に不快で危険。トランプ大統領がこの言葉を使用したことは、極めて問題であり、無責任だ」と主張した。
また、「ユダヤ人にまつわる虚偽と陰謀論が依然としてどれほど深くこの国に根付いてるのか、今回の件が浮き彫りにしている」などと付け加えた。
一部の民主党議員も、トランプ氏によるこの言葉の使用を即座に批判した。
ニューヨーク州選出のダニエル・ゴールドマン下院議員は「これは露骨で卑劣な反ユダヤ主義であり、トランプ氏は自分が何をしているのかよくわかっている」「反ユダヤ主義に真に反対する人なら誰でも、それが発生した場合は私のように非難の声を上げる」とソーシャルメディアに書き込んだ。
ユダヤ公共問題評議会のエイミー・スピタルニック最高経営責任者(CEO)は、ソーシャルメディア上で、「シャイロックは最も典型的な反ユダヤ主義のステレオタイプの一つ。今回のことは偶然ではなく、トランプ氏は長年にわたり反ユダヤ主義的な表現と陰謀論を常々口にしていた」と指摘した。