ハリケーン直撃のバーブーダ島、無人に 300年で初

被害を受けた建物の一つ=バーブーダ島

2017.09.16 Sat posted at 15:49 JST

(CNN) ハリケーン「イルマ」の直撃を受けたカリブ海の島国アンティグア・バーブーダのロナルド・サンダース駐米大使は16日までに、この300年で初めて同国バーブーダ島から住民が全員避難し、1人もいなくなったことを明らかにした。バーブーダ島はイルマにより生活手段が破壊され、居住不可能な状態になっていた。

サンダース氏は米ラジオ局の国際公共放送(PRI)の取材に対し、「被害は極まった」「これは人道危機だ」と言及。「あの島で約300年にわたり存在してきた文明は今や消滅した」と述べた。CNNとのインタビューでも同様の発言を行った。

アンティグア・バーブーダはプエルトリコの南東、大西洋とカリブ海の境に位置する。1981年に英連邦の主権国家になった。米中央情報局(CIA)の報告書によると、7月時点での人口は9万4731人と推定されており、その97%はアンティグア島に住んでいる。

国民の大半はキリスト教徒で英語を話す。金融サービス関連の企業もあるが、生命線は観光産業で、国内総生産(GDP)の60%近くを占めている。

イルマが直撃した際、アンティグア島の被害は最小限だったものの、バーブーダ島はインフラが壊滅。少なくとも1人の死亡が報告された。救助隊が住民をアンティグア島に避難させたほか、非常事態宣言も出された。

イルマの直撃を受けたバーブーダ島=7日

サンダース氏によると、住民のうち1700人は当局などが避難させ、残りは自力でアンティグア島に到着した。

同国政府は、一部の住民はバーブーダ島再建後もアンティグア島に残ることを選ぶかもしれないが、多くは自宅に戻ることを望むだろうとみている。バーブーダ島は約160平方キロの小さな島であり、住民は島への帰属感が強い。サンダース氏は同島こそ先祖の眠る場所だと指摘。「数世代の人々があの島に住んできた。彼らは他には何も知らない。島への帰属意識が極めて強い」と述べた。

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