エクアドルの麻薬王、米国に身柄を引き渡し 刑務所から脱走も再拘束
(CNN) エクアドルの悪名高い麻薬王が、米国に身柄を引き渡された。エクアドルの刑務所を脱走して国内を騒がせていたが、今年6月に再び身柄を拘束されていた。
米国に身柄が引き渡されたのはホセ・アドルフォ・マシアス受刑者(通称「フィト」)。マシアス受刑者は、港湾都市グアヤキルの最高警備の刑務所から同市の空港に移送され、手続きのために到着していた米当局者に引き渡された。エクアドル当局が明らかにした。
市当局によれば、米司法省の航空機は、午後0時45分ごろにグアヤキルに到着し、マシアス受刑者を乗せて午後2時すぎに出発した。
エクアドル当局が20日に公開した写真には、マシアス受刑者が半ズボンとTシャツ、ヘルメット、防弾チョッキを着用し、重武装の警察官に護送される様子が写っている。
マシアス受刑者は2020年以降、犯罪組織「ロス・チョネロス」を率いており、米当局は同組織がエクアドルから国外へコカインを出荷・流通させていたと非難している。
マシアス受刑者は4月、米ニューヨーク州ブルックリンの連邦裁判所で、麻薬密輸および武器密輸に関する7件の罪で起訴された。
マシアス受刑者は昨年1月、グアヤキルの刑務所から脱走していた。同施設では、殺人や麻薬密売の罪で禁錮34年を言い渡されて服役していた。
脱走後、エクアドル国内では暴力が激化し、ギャングが人気テレビ局を生放送中に襲撃し、スタッフを人質に取る事件も発生。これを受けてノボア大統領は国内の武力紛争を宣言し、ロス・チョネロスなど国内の22の犯罪組織を「テロ組織」に指定していた。
マシアス受刑者は6月、豪邸の地下に設けられた隠し壕で身柄を確保された。邸宅にはジムや娯楽室などが備えられていた。
検察は20日にニューヨークの連邦裁判所に提出した文書で、マシアス被告について、公共に対する脅威であり、逃走の恐れがあるとして、公判までの勾留を要請した。有罪となれば、最低10年の禁錮、最長で終身刑が科される可能性がある。