ベトナム観光船転覆、死者37人 エアポケットに逃れた10歳少年を救出
(CNN) ベトナム北部の観光地ハロン湾で起きた観光船の沈没事故で、転覆した船内のエアポケットに逃げ込んでいた10歳の男の子が救出された。
観光船は19日、航行中に突然の悪天候に見舞われて沈没。家族と共に乗船していた男の子は、船内のエアポケットに避難して助けを待っていた。
現地メディアによると、男の子は精神的ショックを受けているものの大きなけがはなく、近くの病院に搬送された。「あまりにも急な出来事だった」「脱出しようとしていたら、兵士が助けてくれた」と話している。
現場では安否が確認できない乗客乗員の捜索救助活動が続けられているが、悪天候に阻まれて捜索は難航している。
国営メディアによると、この事故で少なくとも37人の死亡が確認された。死者はさらに増える恐れもある。同船には乗客乗員53人が乗船しており、10人は救助されたと報じられている。

港にえい航される転覆した観光船/Nhac Nguyen/AFP/Getty Images
36歳のベトナム人男性は、ライフジャケットを脱ぎ捨てて、水没した船の窓から泳いで脱出したと語った。
AP通信の取材に応じた男性は、乗船者が避難する余裕はほとんどなかったと証言。「15分ほど雨が続いた後、船が激しく揺れてテーブルやいすが揺さぶられ、数秒後に船がひっくり返った」「息をしようとしたが水がどんどん入ってきた。私は大きく息を吸ってライフジャケットを捨て、水に潜った。一筋の光をたどってボートから脱出し、転覆したボートによじ登って助けを求めた」と話している。
この男性を含む数人がボートにしがみつき、大雨の中で2時間ほど救助の到着を待っていたという。
男性は大学の友人11人と一緒に乗船していたという。助かったのは3人だけだった。

現場に派遣された救助隊/Nhac Nguyen/AFP/Getty Images