イスラエル、フーシのミサイル迎撃失敗 米国による弱体化の取り組みの限界露呈
エルサレム(CNN) イスラエルの国際空港は4日、イエメンから発射されたミサイルの迎撃が失敗したことを受けて、一時閉鎖を余儀なくされた。ミサイル迎撃の失敗により、イスラエルのもろさが露呈したほか、米国が継続的に軍事作戦を実施しているにもかかわらず、イエメンの反政府武装組織フーシが長距離の標的を攻撃する能力を保持し続けていることが明らかになった。
今回の攻撃はイスラエルの空港がフーシの標的となった初めてのケースと見られる。
テルアビブ近郊のベングリオン空港は4日、周辺にミサイルが着弾したことを受けて、約30分にわたって運航を停止した。イスラエル軍はミサイル迎撃を複数回試みたと発表した。迎撃の結果について検討を行っているという。
イスラエル軍の報道官は、飛来したミサイルに向けて長距離迎撃ミサイル「アロー」を発射したと明らかにした。米国はイスラエルに高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)を配備している。
フーシは犯行声明を出し、今回の攻撃について、パレスチナ自治区ガザ地区の人々に対するイスラエルによるジェノサイド(集団殺害)の犯罪を拒否するため実施したと主張した。

航空便の運航が停止して、空港の外で待つ旅行者/Jack Guez/AFP/Getty Images
フーシは再攻撃の可能性を警告し、ベングリオン空港を繰り返し標的とすることでイスラエルの上空を封鎖すると主張した。フーシは航空各社に対し、イスラエルへの定期便を全て欠航とするよう呼び掛けた。
イスラエルのネタニヤフ首相はフーシへの攻撃を明言した。米国と連携してフーシに対する作戦を進めているという。ネタニヤフ氏はまた、フーシの後ろ盾となっているイランにも対処すると述べた。
今回の事案は、国内で最も厳重に警備されている施設の一つでの重大な安全への侵害であり、自慢の防衛システムを配備しているにもかかわらず、イスラエルがこうした攻撃を迎撃する能力があるのか疑問視される可能性が高い。
イスラエル軍のラジオ局の専門家は、今回のフーシからのミサイルが、驚異的な精度とイスラエルの防空網を突破する能力を示したと指摘した。「2000キロ離れた場所から発射されたとして、これほど正確だったとは感心した。この脅威を真剣に受け止めなければならない。イスラエル側の失敗なのか、それとも新たな種類の脅威なのか見極めなければならない」
同専門家によれば、イランが防空網を回避できる長距離ミサイルの開発を進めているが、そうした先進的な技術がフーシに移転されているかどうかは不明だという。

空港の近くの道路に散乱したがれきの撤去を行う作業員/Jack Guez/AFP/Getty Images