ガザへ向かう支援船で火災、イスラエルのドローン攻撃か マルタ沖
ガザへの支援船で火災、ドローン攻撃か
(CNN) 地中海マルタ沖の国際水域で2日未明、パレスチナ自治区ガザ地区へ向かう活動団体の支援船で火災が発生し、SOSの信号が発せられた。団体側はイスラエルのドローン(無人機)攻撃を受けたと主張している。
イスラエルによるガザ封鎖を終わらせるべく活動する団体FFCはCNNの取材に答え、当該の支援船には当時活動家が乗り込み、人道支援物資を運搬していたと述べた。攻撃が発生したのは現地時間の真夜中過ぎだったとしている。
現時点でFFCは、ドローンがイスラエルのものだったとする証拠を示していない。イスラエル軍は攻撃を受けたとする訴えについてコメントを控えた。
FFCの広報担当者は2日午前、マルタからCNNの電話取材に応じ、「船体に穴が空き、沈みかけている」と述べた。
マルタ政府は全長約20メートルの船舶に乗員12人、乗客4人が乗っていると説明したが、FFCはこれより前、船には30人が乗っているとCNNに伝えていた。
マルタ軍は船で火災が発生し、後に消し止められたことを確認した。軍の報道官はCNNの取材に対し「状況を注視している」とした上で,負傷者は出ていないと付け加えた。
マルタ政府は声明を出し、船を支援するためタグボート1隻が派遣されたと明らかにした。
マルタに向かっていた当該の船は現地で活動家の集団を乗せ、1600キロ以上離れたガザへ出発する予定だったが、マルタへの入港ができていないとFFCは説明した。
マルタではスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんや米陸軍大佐(退役)のメアリー・アン・ライトさんも乗船するとみられていた。火災発生時、2人は乗船していなかったという。
ライトさんはマルタからCNNの取材に答え、「まさかこんな事態が起きるとは思わなかった」と驚きや非難を表明。マルタに停泊中の船がドローンによる爆撃を受けたとの見方を示唆し、「このことは全ての欧州諸国が警戒すべき」と強調した。
FFCはウェブサイトで自分たちを親パレスチナ活動家の国際ネットワークと説明。イスラエルによるガザ封鎖の停止と、直接的かつ暴力に訴えない手法で現地への人道支援物資搬送に取り組んでいると語る。
FFCは今回の火災がイスラエルの攻撃によるものだとする証拠を提示していないが、攻撃を受けたとされる数時間前にはイスラエル空軍の輸送機がマルタ東部を長時間低空飛行していたとの情報もある。この情報はフライト追跡サイトのADS―Bエクスチェンジが明らかにした。
イスラエル国防軍はこのフライトに関するデータについてコメントを控えた。
2010年、イスラエルは国際水域でガザ向けの人道支援物資を運んでいた船団を攻撃。これにより9人が死亡し、世界的に怒りの声が上がった。また1人は攻撃による負傷で昏睡(こんすい)状態となり、4年後に死亡した。