ウクライナの豊富な鉱物資源、トランプ米大統領が軍事支援の「代償」として注目
(CNN) 米国のトランプ大統領がこのほど、ウクライナに対する将来的な軍事支援と引き換えに、ウクライナの鉱物資源を利用できるようにしたいとの考えを明らかにした。ウクライナはロシアの侵攻から国を守るために米国からの軍事支援を必要としている。
今回の発言は、ウクライナでの戦争に対するトランプ氏の「ディール(取引)外交」的なアプローチを浮き彫りにしたが、まったく予期されていなかったわけでもない。欧米諸国はこれまでもウクライナの豊富な鉱物資源に目を向けていた。
トランプ氏は3日、大統領執務室で、記者団に対し、「我々は数千億ドルを投資している。ウクライナは素晴らしいレアアース(希土類)を保有している。わたしはレアアースの安全を望んでおり、ウクライナは喜んでそうするつもりだ」と述べた。ウクライナが何に合意したのかについては明らかにしなかった。
トランプ氏はかねて、将来の支援は融資として提供されるべきであり、ウクライナがロシアと交渉することが条件になると示唆している。
バイデン前政権は、2022年2月にロシアによるウクライナへの全面侵攻が始まって以降、659億ドル(約10兆円)の軍事支援を提供していた。
バイデン前大統領は、ウクライナの勝利は米国の安全保障にとっても重要であるとし、軍事支援は必要だと主張。一方、トランプ氏は、米国は見返りを得ずに支援を継続すべきでないとの考えを明確にしている。
トランプ氏がウクライナ政府に何を望んでいるのか詳細は明らかにしていないが、鉱物分野で米国とウクライナとの協力を深めるための取り組みはトランプ氏が大統領に就任する今年1月の数カ月前から準備が進められていた。
バイデン政権下で昨年作成された覚書は、ウクライナ政府が経済的なインセンティブ(動機付け)を創出し、適切な事業や環境の慣行を用意することと引き換えに、米国はウクライナの鉱山プロジェクトへの投資機会を米企業に促すというものだった。
ウクライナはすでに21年に欧州連合(EU)と同様の取り決めをかわしている。
法律事務所世界大手デントンズのキーウ事務所のパートナー、アダム・ミシク氏は、ウクライナから重要な鉱物支援を確保するという取引の目的は変わらないものの、トランプ氏のアプローチはより取引に寄ったもののようだとの見方を示した。
「そのような協定がどのようなものとなるかまだ分からないが、ウクライナで採取された鉱物についてウクライナ企業による加工と価値の創造を可能な限り最大化することが戦後の復興と長期的な経済見通しにとって最大の利益となるだろう」(ミシク氏)
ウクライナ政府はまだ、トランプ氏の発言に反応していない。だが、ウクライナ政府は過去に、西側諸国がウクライナを支援すべき理由の一つとして、国内の鉱物資源を挙げ、これらの戦略的に重要な資源がロシアの手に渡るのを防ぐべきだとしていた。
ウクライナのゼレンスキー大統領も、自身の掲げる「勝利計画」の重要な部分として、西側諸国による国内の天然資源への将来的な投資の可能性に言及していた。
米国は必要とする鉱物資源の多くを輸入に頼っており、その多くは中国産だ。米地質調査所(USGS)によれば、米国は重要と分類された鉱物50種のうち、12種について完全に輸入に依存しているほか、16種は50%を輸入に頼っていた。
ウクライナ政府によれば、こうした鉱物50種のうち22種がウクライナ国内に眠っている。
トランプ氏は「レアアース」と言及したが、特定の鉱物を意図したものかは不明。レアアースは特に地球の核などに存在する17種類の元素で、電子機器やクリーンエネルギー、一部の兵器システムの生産に不可欠な磁性や導電性を持つ。
中国は長年にわたり、レアアースやその他戦略的に重要な鉱物の生産で独占的な地位を築いてきた。米戦略国際問題研究所(CSIS)によれば、中国が世界のレアアースの製造の約90%を担っている。