パキスタンでポリオ感染拡大、子ども100万人がワクチン接種できず
パキスタン・イスラマバード(CNN) パキスタンで再びポリオの感染が拡大している。当局によると、9月はワクチンを接種できなかった子どもが100万人以上に上った。
10月には新規の症例が十数例確認され、今年の合計はこれで39例になった。昨年はわずか6例にとどまっており、パキスタンのポリオ根絶は間近と思われていた。
ポリオは感染力の強いウイルス性の疾患で、主に5歳未満の子どもがかかる。まひや呼吸器問題などの症状が出て死に至ることもあり、治療法は存在しない。しかしワクチン接種で予防でき、ワクチンが普及した1980年代以来、世界の症例数は99%以上減少した。
世界保健機関(WHO)によると、今もポリオの流行が起きているのはパキスタンとアフガニスタンの2カ国のみ。ただ、イスラエルの攻撃が1年以上も続くパレスチナ自治区ガザ地区ではポリオが再燃した。
パキスタンでワクチンが普及しないのは、外国の医療機関に対する根強い不信感も一因となっている。2011年には米情報機関がパキスタンのアボタバードで偽の予防接種プログラムを利用してオサマ・ビンラディン容疑者を拘束しようとしたといううわさが広がり、疑念が強まった。
信教上の理由やポリオの危険性に対する認識不足も妨げになっている。
直近の症例は、主にアフガニスタンと国境を接する南西部のバロチスタン州に集中していた。地元当局によると、偽情報の拡散や医療機関に対する不信感が原因で、親が子どものワクチン接種を躊躇(ちゅうちょ)しているという。
感染が確認された子どものほとんどは、4回の接種を済ませていなかった。
国が監視を強める中で、症例数の報告はさらに増えるだろうと当局者は予想している。