タイの大気汚染が深刻化、森林火災の煙で健康被害続出
タイ・バンコク(CNN) タイ北部で森林火災や野焼きによる煙のために大気汚染が深刻化している。チェンマイでは呼吸器の症状を訴える患者で満床になったという病院もある。
タイの大気汚染は長年の問題になっており、首都バンコクでは交通渋滞によって引き起こされるのが通常だった。
しかし今年は12月~4月にかけての野焼きや森林火災が広がった影響で、全土で大気汚染が悪化した。
大気汚染の程度を示す空気質指数(AQI)で見ると、チェンマイの大気汚染は少なくとも7日間連続で世界最悪となった。チェンマイは年間数百万人の外国人観光客が訪れる人気観光地で、4月は観光シーズンの終盤に当たる。
チェンマイでカフェを営む男性は、1月以来、大気汚染がますます深刻化して呼吸するのが危険になっていると話す。悪臭は強くなっているといい、「もう4月なのに状況が悪化している。改善はなく、みんな体調を崩している」「自分を死なせる空気を吸っていると思うと恐ろしい」と語った。
タイ地理情報・宇宙技術開発機構(GISTDA)が撮影して公開した3月下旬の衛星画像には、5572カ所のホットスポット(火災発生地点)が写っており、過去5年で最も多かった。
タイ政府の3月28日の発表によると、大気汚染は全土で170万人に、呼吸器疾患や皮膚の炎症、目の感染症などの影響を及ぼしている。