大気汚染への長期間の暴露、うつ病や不安障害のリスク増大 英研究

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スモッグに煙る米LA市街。この日の大気の質は「中程度」だった=2019年6月撮影/Mario Tama/Getty Images

スモッグに煙る米LA市街。この日の大気の質は「中程度」だった=2019年6月撮影/Mario Tama/Getty Images

(CNN) 大気汚染のひどい地域の住民は空気のきれいな地域の住民に比べ、うつ病と不安障害のリスクが大きいことを示す研究結果が発表された。

米医師会が発行する精神医学専門誌「JAMAサイキアトリー」に1日付で発表された最新の研究によると、粒子状物質(PM)や二酸化窒素(NO2)、一酸化窒素(NO)など複数の大気汚染物質に長期間さらされた人は、うつ病と不安症状のリスクが増していた。

PMは空気中を漂うほこりや土、すす、煙などの粒。石炭や天然ガスを燃やす火力発電所、車、農業、未舗装の道路、建設現場、山火事などから発生する。

特に微小粒子状物質(PM2.5)は、髪の毛の太さの20分の1と非常に小さい。吸い込むと肺から血液に入って炎症を引き起こし、呼吸器疾患の原因となる恐れがある。がんや脳卒中、心臓発作の原因になったり、ぜんそくを悪化させたりすることもあり得る。うつ病、不安障害リスクとの関連も、長年指摘されてきた。

NO2は自動車エンジンなどの燃焼、NOも自動車のほか石油や石炭、天然ガスの燃焼で発生する。

新たな研究には、英国で男女50万人の健康情報を収集した「UKバイオバンク」のデータが使われた。

対象の38万9185人中、研究期間中にうつ病と診断されたのは1万3131人、不安障害の診断を受けたのは1万5835人。住んでいる地域の大気汚染がたとえ英国の基準を下回っていても、濃度が高ければ高いほどうつ病と不安症状のリスクは大きかった。

PM2.5濃度と不安障害リスクの相関関係は、女性より男性に強くみられた。

この研究で相関関係の理由までは特定できないが、これまでに実施された研究で、大気汚染物質にさらされると中枢神経系が影響を受け、炎症を起こしたり細胞が損傷したりすることが分かっている。

一部の汚染物質では体内で有害物質が生成され、脳を保護するシステム「血液脳関門」を傷付けるために、うつ病や不安障害が起きるとも考えられている。

今回の研究の制約としては、ほかにオゾンや一酸化炭素(CO)、二酸化硫黄(SO2)など、一般的な汚染物質の情報が入っていないことが挙げられる。

研究チームは、こうした研究結果が各国の当局に、大気汚染対策を促すことを期待すると話している。

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