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国外脱出するロシアの高官たち、支援者が語る亡命の実態

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オセチキン氏の助力で欧州入りしたFSBの元上級将校、エムラン・ナフルズベコフ氏/courtesy Emran Navruzbekov

オセチキン氏の助力で欧州入りしたFSBの元上級将校、エムラン・ナフルズベコフ氏/courtesy Emran Navruzbekov

強力な敵を作る

影響力を持つ人権活動家でありジャーナリストであるオセチキン氏は、長年にわたってロシアの権力者たちを悩ませてきた。ロシア国内での汚職や拷問を標的にした人権団体「グラーグ・ネット」を11年に創設してからは、注目を集める調査に相次いで関わり、政府機関及び省庁の犯罪を糾弾した。

プーチン氏がウクライナに対するいわゆる「特別軍事作戦」を開始した昨年2月24日以降、ロシアの当局者らが母国を去る「大波」も発生したと、オセチキン氏は語る。今では毎日、誰かが自分たちに助けを求める状況だという。

多くは階級の低い兵士たちだが、中には閣僚経験者や元将官クラスといった大物もいる。CNNはこれまで、ロシア連邦保安局(FSB)の元将校や民間軍事会社「ワグネル」の傭兵(ようへい)がロシアを脱出した事例を確認した。

今月、オセチキン氏はワグネルの元戦闘員1人を支援した。この戦闘員は国外脱出した後、徒歩で隣国ノルウェーに入り亡命申請していた。ワグネルとの契約更新を拒否して以降、命の危険を感じたためだという。

オセチキン氏のネットワークを通じてロシアから逃れた当局者らは、ロシア政府の内部情報の提供に合意する。その中には欧州の諜報(ちょうほう)機関の手に渡る情報もある。こうした機関とは定期的に連絡を取っていると、オセチキン氏は話す。

FSBの元上級将校で、オセチキン氏が欧州での支援に携わっているエムラン・ナフルズベコフ氏の用意した情報は、欧州でのスパイ活動に関するFSBからの指令だった。

「FSBの上司は欧州の工作員に対し、ウクライナに向かうとみられる『傭兵』について探るよう求めた。ウクライナのために戦おうとする義勇兵を、彼らはテロリストと呼んだ。私はそうした内容のやり取りを保持していた」。ナフルズべコフ氏はCNNの取材にそう答えた。

助けた人々の情報の中には、たとえ軍事機密であっても自身の人権団体にとってそれほど利益にならないものもあると、オセチキン氏は認める。しかし西側の諜報機関は、全く異なる優先順位を持っていた。

フランス軍の元将官で、北大西洋条約機構(NATO)の作戦の副司令官を務めたミシェル・ヤコフレフ氏はCNNの求めに応じ、オセチキン氏が入手した複数の軍事ファイルを精査した。それによると、軍の司令官にとっての重要性はあまりないかもしれないが、「断片的な情報は含まれており、個別ではさして興味をそそられないとしても、集まれば1つの構図が浮かび上がる。それこそが情報を収集する上での利益になる」という。

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